リフォームを学ぶ | バルコニー・ベランダ
バルコニー・ベランダ
更新日:2023年10月19日
ベランダとバルコニーの違いは何?テラスは?それぞれをわかりやすく解説
掲載日:2023年10月19日
普段、見聞きする「ベランダ」、「バルコニー」、「テラス」という単語。これらの区別や違いについて、うまく説明できないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「ベランダ」や「バルコニー」、「テラス」の定義を詳しくご案内します。
併せて、リフォームする際の注意点もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ベランダ・バルコニー・テラスの種類・違いとは
「ベランダ」、「バルコニー」、「テラス」のリフォームを検討しているなら、まずはそれぞれの定義と特徴を押さえておきましょう。
ベランダの定義
ベランダとは住戸から外に張り出した構造で、上方に屋根やひさしを設けてあるスペースです。ある程度、雨風をしのげる構造で、洗濯物を干すのに適しています。マンションでは、屋根となる部分が上階のベランダになっているのが一般的です。なお、新築マンション販売時における間取り図を見ると、ベランダの形態をとっている箇所でも「バルコニー」と表示されていることも多く、「ベランダ」と「バルコニー」の厳密な使い分けは、あまりされていないようです。
バルコニーの定義
バルコニーとは、住戸の外壁から外に張り出した床を手すりや腰壁で囲んだスペースです。一見するとベランダに似ているものの、屋根やひさしがなく雨や風をしのげないのが特徴です。上に遮る物のない構造で、日本ではマンションよりも一戸建に多く採用されています。また、屋上に設ける広いスペースもバルコニーで、「ルーフバルコニー」と呼んだりしています。
テラスの定義
テラスは、1階に設けて地面よりも一段高くなっているスペースです。建物から庭へ張り出しており、部屋と同じ高さになるように土地を盛り上げて平らにします。テーブルやイスを置けば、屋外のリビングのようなイメージで活用できるのが魅力です。食事やティータイム、日光浴などくつろぐ場所として使われるほか、洗濯物を干す場所としても役立ちます。
ベランダとバルコニーの違い
ベランダとバルコニーは、張り出ているスペースである点では同じですが、以下のような違いがあります。
- ベランダには屋根やひさしを設けてあり、バルコニーにはないのが基本
- ベランダには階数の決まりがないのに対して、バルコニーは2階以上のスペースを指す
ベランダとバルコニーは、雨風をしのげる屋根の有無が異なります。屋根やひさしがあればベランダ、なければバルコニーと理解して問題ありません。バルコニーが2階以上のスペースを指すのに対して、ベランダには階数の制限がなく、屋根さえあれば1階でもベランダと定義されます。昔ながらの日本家屋に設置されている縁側も、ベランダの一種と考えて差し支えないでしょう。
ただし、バルコニーには屋根がある「インナーバルコニー」と呼ばれるタイプがあります。通常のバルコニーが建物から張り出ているのに対して、階下の屋根を床にしているのが特徴です。屋根の一部が室外スペースのようなイメージで、明るく広々とした空間を作れます。
バルコニー・テラスの違い
バルコニーとテラスのおもな違いは、以下のとおりです。
- 2階以上に設置されるのがバルコニー
- 1階の部屋から外側に張り出している空間がテラス
屋根やひさしがなく、2階以上に設けるのがバルコニー、1階ならテラスと理解しておけば問題ありません。いずれも上方に遮る物がなく、開放感を得られるのが魅力です。特にテラスはおしゃれなテーブルやイスなどを設置すれば、スタイリッシュな空間を演出できます。
ベランダとバルコニーのメリット・デメリット
ベランダとバルコニーの定義や違いがわかったところで、それぞれのメリットとデメリットを確認しておきましょう。ベランダやバルコニーのリフォームを検討する際の参考にしてみてください。
ベランダのメリットとデメリット
屋根やひさしがあるベランダは、雨風をしのぎやすいのが最大のメリットです。よほどの強い雨風でなければ、窓を開けて換気したり、ベランダで作業したりもできます。また、太陽光を遮ってくれるのもメリットです。夏場で日差しの強い日には、室内の温度上昇を防ぐ効果も発揮します。
一方で、日差しを取り入れたい時に、屋根があるぶん採光しにくい場合も。周辺に高い建物がある環境や北向きに建てられた住宅だと、日当たりが悪く感じる場合もあるでしょう。
バルコニーのメリット・デメリット
バルコニーは屋根やひさしがなく、日差しを目一杯取り込めるのがメリットです。明るく開放感のある空間を作りたい方に適しています。バルコニーに面している部屋に明るさを確保できるほか、寒い冬場は室内を温める効果も発揮します。広いバルコニーを設置できれば、家庭菜園やガーデニング、子どもの遊び場としても活用可能です。
ただし、日当たりを確保できる反面、夏場は暑すぎる場合があります。バルコニーに面した部屋の温度が上昇し、エアコンの消費電力が気になるケースもあるでしょう。強い日差しが気になる場合は、日差しを遮ることができるオーニングやシェードなどを利用して対策する方法があります。
ベランダ・バルコニーをリフォームする際の注意点
実際にベランダやバルコニーをリフォームする際の注意点を解説します。以下のポイントを押さえて、理想とするベランダ・バルコニーのリフォームを実現しましょう。
全体的なデザインのバランスに気をつける
ベランダやバルコニーをリフォームする際は、住宅のデザインに合わせるようにしましょう。例えば、屋根や外壁、サッシなどと合わせて素材や色を選ぶと、家とのバランスが整ったベランダやバルコニーに仕上がります。
プライバシー面と防犯面を意識する
ベランダやバルコニーは、近隣の住民や通りかかる人の視線にさらされやすい環境です。また、泥棒がベランダの窓から侵入する事件も後を絶ちません。
プライバシーの確保や防犯対策として、侵入しにくい手すりやフェンスを設置すると良いでしょう。
風通し・日当たりを確保する
ただし、プライバシーや防犯を意識するあまり、風通しや日当たりが悪くなってしまうのは避けたいところです。例えば、格子状になっている木製ルーバーのフェンスや、小さな穴を設けたパンチングメタル仕様のフェンスにすれば、プライバシー・防犯と通気性・日当たりの確保を両立できます。ベランダやバルコニーで洗濯物を干すなら、光を通しながらもプライバシーも確保できる、半透明タイプの手すりやフェンスがおすすめです。
屋根を設置する
ベランダやバルコニーで洗濯物を干す場合は、屋根を設けましょう。屋根があれば、急な雨が降ってきても慌てず取り込む必要がありませんし、ちょっとした外出中でも安心です。また、衣類を紫外線による日焼けから防ぐ効果もあります。なかには、UVカット仕様で強力に紫外線をカットするベランダやバルコニー用の屋根材がありますので、チェックしてみてください。なお、リフォームで新たに屋根を設ける場合は、斜線制限などの建築基準法におけるルールに抵触しないことが大前提ですので、工事業者としっかり相談・打合せを行うようにしてください。
定期的に状態をチェックする
ベランダやバルコニーをリフォームしたら、定期的に状態をチェックしておくのが重要です。ベランダやバルコニーは屋外にさらされており、雨風や紫外線を受けて屋内よりも早く劣化します。重量もあって万一不具合が発生すると危険ですので、定期的にチェックする習慣をつけておきましょう。
また、専門業者によるメンテナンスもおこなう必要があります。ベランダやバルコニーの防水機能はおよそ10年が目安とされていますが、劣化状態によっては10年以内に不具合が発生する場合も。劣化が進むと雨漏りなどのトラブルが発生し、修復費用が高額になってしまいます。無駄なコストをかけないためにも、5年、10年といった節目でリフォーム業者に点検してもらうと良いでしょう。
用途に合わせてリフォームを計画する
ベランダやバルコニーをリフォームする際は、使用目的を明確にした上で計画を進めていきましょう。洗濯物を干す場所として活用するなら屋根があるベランダが適していますし、アウトドアリビングにするなら広くて開放感のあるバルコニーがぴったりです。事前に用途を家族で話し合ってから、リフォーム会社に希望を伝えると良いでしょう
子どもの転落防止を考慮する
小さなお子さんがいる家庭なら、転落防止を考慮しながらベランダやバルコニーをリフォームしましょう。実際に、子どもの転落事故は歩き始める1~2歳頃から、3~4歳までを中心に発生しています。手すりの位置を高くしたり、足をかけて登りやすいデザインを採用したりしないように注意が必要です。なお、エアコンの室外機を手すりから離しておくと、室外機に上がって手すりに手をかけてしまう危険を防げます。リフォーム後は、ネットでパネルのすき間をふさぐなどの対策も有効です。
なお、「子どもの転落防止」に関しては、政府広報オンライン記載の注意と対策も参考にしておきましょう。
参考:政府広報オンライン「ご注意ください!窓やベランダからのこどもの転落事故」
ベランダの強度を確保する
ベランダのリフォームで張り出し部分を広くしたい場合は、相応の強度を確保しなければなりません。ベランダを広くして重量が増したなら、ベランダを支える新たな柱を建てるなどの対策が必要になります。洗濯物を干す場所や部屋の延長として活用する場合は、屋根の拡張も併せて実施するのがおすすめです。
マンション管理規約を確認する
マンションの場合は、住まい方や管理について居住者が守らなければいけないルールなどを定めた管理規約を事前に必ず確認しておきましょう。分譲マンションのベランダやバルコニーは共用部分であり、防水工事やリフォームは管理組合の主導によって行われる「大規模修繕」の際に実施されます。管理組合の許可のない改修はもちろん、アンテナを設置したり、花壇に大量の土を使ったりといった行為も禁止されている場合もあり注意が必要です。
まとめ
「ベランダ」、「バルコニー」、「テラス」はそれぞれ定義が異なります。リフォームを検討する前に、まずは、対象の屋外スペースがなんと呼ばれるものなのかを分かっておくとリフォーム事例を探しやすくなるでしょう。そして、どのようなベランダやバルコニー、テラスが理想なのかを、ぜひご家族で話し合ってみてください。
ご家族のご希望が固まったら、それを実現してくれる経験豊富なリフォーム会社を探し、相談してみましょう。
◆記事監修
一般財団法人住まいづくりナビセンター 専務理事
河田 崇
河田 崇
元 独立行政法人 住宅金融支援機構 部長
工務店向けの省エネ基準解説書や木造住宅工事仕様書の作成などに従事
マンション管理士 建築基準適合判定資格者 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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