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更新日:2024年11月13日

お風呂の扉は「引き戸」が便利?引き戸の特徴、その他の浴室ドアの種類もご紹介

掲載日:2023年10月13日

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お風呂の扉を長い間使用していると、ドア自体のゆがみや汚れのこびりつき、部品の破損などのトラブルが起こりがちです。簡単な修理だけでは対応できず、扉ごと交換するほうが良いケースもあります。

本記事では、浴室のドアの種類を紹介するほか、使い勝手が良くて人気のある「引き戸」の特徴やメリット・デメリットを解説します。浴室や扉をきれいに掃除する方法やコツも解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

お風呂の扉の種類

お風呂の扉には、以下の3種類があります。

  • 折戸

  • 開き戸

  • 引き戸

それぞれ特徴が異なりますので、浴室のリフォームを検討する際にはポイントを押さえておきましょう。
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画像:タカラスタンダード

折り戸

折り戸とは、開ける際に扉の半分の位置から折り曲がるタイプです。扉を引き込む部分を設ける必要がなく省スペースで設置しやすい構造で、主にユニットバスに多く採用されています。ユニットバスの内側に折り曲がるため、脱衣場の扉周辺に物を置きやすいのもメリットです。

ただし、設置しやすいものの、浴室内に扉の半分のスペースが必要で、また、慣れていないとスムーズに開閉しにくい場合もあります。小さなお子さんやご高齢の方が使う際には、手を挟まないように注意が必要です。また、万一浴室内で人が倒れてしまうと外から開ける際に扉がぶつかってしまい、すばやく救出できないといった可能性もあります。
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中折れの構造により、レール部分にホコリが溜まると掃除しにくいのもデメリットです。衛生面が気になる場合には、こまめに掃除しなければなりません。また、引き戸のように扉を丸ごと取り外すのが難しく、細かい部分を掃除したい時に不便です。
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画像:タカラスタンダード株式会社

開き戸

開き戸とは玄関や部屋のドアに多く採用されている、ドアノブやハンドルで開閉する扉です。折り戸や引き戸にあるスライド用の溝がないので掃除がしやすい反面、扉の開閉のためのスペースが必要になってしまうという注意点があります。

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画像:タカラスタンダード株式会社

引き戸

横に扉をスライドさせるタイプが引き戸です。扉を引き込むスペースさえ確保できれば設置できます。開け閉めする際に脱衣場や浴室内の空間に干渉しないため、扉の周辺に物を置いても問題ありません。横にスライドさせるだけとスムーズに開閉しやすく、小さなお子さんやご高齢の方が指を挟む心配も少なく安心です。以下では、引き戸にどのようなメリットがあるのか、さらに詳しく解説します。

お風呂の扉に引き戸を採用するメリット

引き戸はさまざまなタイプの浴室や住宅に採用されており、折り戸や開き戸にはない以下のメリットがあります。

  • 開閉しやすい

  • 空間を有効活用しやすい

  • 掃除しやすい

開閉しやすい

お風呂の扉に引き戸を採用する最大のメリットが、開閉しやすさです。扉を横にスライドさせるだけで開閉できる構造であり、力の弱いご高齢の方や小さなお子さんでも楽に出入りできます。また、折り戸のように指を挟むトラブルも少なく安心です。

万一浴室で人が倒れてしまうアクシデントが発生した際に、外側から救出しやすいメリットもあります。また、浴室のスペースを広く確保しやすく、介護の必要な方がいる場合に介護者が補助しやすい点にも注目です。

空間を有効活用しやすい

引き戸は扉を引き込むスペースさえ確保できれば、空間を有効活用しやすいのがメリットです。折り戸や開き戸のように扉を開くスペースが必要なく、浴室内や扉周辺に物を置いても問題ありません。扉のすぐ前にバスタオルや着替えを置いても邪魔にならず、ストレスなく入浴できます。

また、折り戸のように扉が人に干渉しないため、介護が必要な方と一緒に浴室に入ってサポートしやすいのもメリットです。

掃除しやすい

お風呂は湿気や石鹸のカス、ホコリなどで汚れやすい環境なので、掃除しやすさも重要なポイントです。引き戸は扉とレールのみのシンプルな構造により、掃除しやすいのが特徴。細かい部分も掃除しやすく、常に清潔な状態を保ちたい方に適しています。また、扉ごと外せるタイプが一般的で、レールに溜まった水垢やホコリを取り除きたい場合にも便利です。

お風呂の扉を引き戸にするデメリット

お風呂の扉を引き戸にすると多くのメリットがある一方、気になる点もあります。最大のデメリットといえるのが、引き込みスペースが必要である点です。新築であれば問題ありませんが、すでに折り戸を採用しているユニットバスを引き戸に変更する場合、スペースなどの問題で難しいケースがある点に留意しておきましょう。

また、開き戸から引き戸に交換するケースでは、リフォーム費用が高くなる傾向があります。開き戸から開き戸、引き戸から引き戸と同じタイプの扉に交換する場合と異なり、レールや枠組みなどをそのまま利用できないからです。

安全性やスペースの面で引き戸に変更するのが困難な場合には、浴室全体のリフォームを検討するのがおすすめです。現実的に引き戸を収める引き込みスペースを設けるのが難しいなら、リフォーム会社に一度相談してみると良いでしょう。
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お風呂の引き戸をきれいに保つコツ・掃除方法

引き戸は折り戸と比較して掃除しやすいものの、汚れ具合や場所に合わせた正しい掃除方法やコツを押さえておくのが重要です。以下では、引き戸の掃除方法を解説しますので、常に浴室を衛生的な状態に保って、快適なバスタイムを過ごすための参考にしてみてください。

溝・レールのホコリを除去する

溝やレールはホコリが溜まりやすい部分です。そのまま放置しておくとますます髪の毛やゴミが溜まり、スムーズに開閉しにくくなりますので注意しておきましょう。溝やレールといった細かい場所を掃除するには、使い古しの歯ブラシが便利です。

まずは、ブラシに浴室用洗剤を含ませて汚れを擦ります。大きなゴミやホコリが溜まっていたら、掃除機であらかじめ除去しておきましょう。汚れが落ちたら、シャワーでしっかりと洗浄成分を洗い流してください。石鹸や洗剤の成分を残してしまうと、汚れの原因になってしまいます。

レールにこびりついたガンコな汚れは、メラミンスポンジを活用するのがおすすめです。水に濡らしたら、角をレールの溝に押し込んで左右に動かしましょう。最後に水分を残さないように、雑巾などでしっかり拭き取ってください。

ゴムパッキンのゴミを除去する

お風呂でもっとも汚れを取り除きにくいのが、ゴムパッキンに付いたカビです。長く放置したままの頑固な黒カビを除去するのは手間がかかります。まずは市販のカビ取り剤を試してみて、効果がないようならキッチンペーパーやラップを活用しましょう。手順は以下の通りです。


1. カビ取り剤をゴムパッキンのカビが生えている箇所にスプレーしたら、キッチンペーパーを被せる。

2. 頑固な黒カビの場合は、その上にさらにラップを被せてカビ取り剤が乾燥しないようにする。

3. そのまま30分ほど放置する。カビが落ちていないようなら、さらに30分放置する。

4. キッチンペーパーとラップを剥がし、使い古しの歯ブラシでカビが残っている部分を擦る。

5. シャワーでしっかりとカビ取り剤や汚れを洗い流して、雑巾で水分を拭き取ったら掃除完了。


歯ブラシでパッキンをこする際は、力を入れすぎないように注意しましょう。パッキンに傷が増えてしまうと、そこからカビが再び繁殖してしまいます。

石鹸カスを落とす

扉の窓などに付着している石鹸カスもしっかりと落としておきましょう。カビほどではないものの、長く放置したままにしておくと汚れを落としにくくなります。アルカリ性の石鹸カスを落とす際には、酸性洗剤を使って中和させるのが有効的です。以下で手順を解説します。

1. 石鹸カスで白くなっている部分に酸性洗剤をスプレーしたら、キッチンペーパーを被せて30分ほど放置する。

2. キッチンペーパーを剥がして、汚れが浮いている部分をスポンジで擦り落とす。

3. 汚れが取れたらシャワーをかけて、洗剤や汚れをしっかりと洗い流す。

4. 乾いた雑巾などで水分をしっかり拭き取って乾燥させる。

なお、アルカリ性と酸性の洗剤を混ぜると、有毒ガスが発生する恐れがあり大変危険です。決して混ざらないように管理しましょう。また、カビ取り剤でパッキンの掃除をした後に、すぐ酸性洗剤を使用するのも危険です。換気をしっかりとおこなって、少し時間を置いてから酸性洗剤を使うようにしてください。

入浴後はシャワーでお湯をかける

浴室や引き戸を常にきれいな状態に保つには、日々のお手入れが大切です。入浴後は、石鹸カスや髪の毛などが付着しているままにせず、シャワーで洗い流すのを習慣にしましょう。その際、水ではなく熱めのお湯を1~2分間かけるのがコツです。温度の高いお湯によって石鹸カスの付着を予防できます。

熱めのシャワーをかけたら、水滴を拭き取っておきましょう。水垢のこびり付きやカビの繁殖を防いで、掃除しやすくなります。タオルや雑巾を用意しておくほか、水切りワイパーがあると便利です。

カビの発生に注意する

浴室は湿度が高く、カビが発生しやすい環境です。カビは見た目を悪くするのはもちろん、浴室や引き戸の劣化も早めてしまいますので注意しましょう。カビの発生を防ぐには、入浴後にしっかり乾燥させるのが重要です。水滴を拭き取ったら窓を開けたり、換気扇を回したりしてしっかりと換気をおこないましょう。

特に、天井の水滴に要注意です。天井に水滴を残したままにしてカビが発生してしまうと、浴室全体にカビ菌が降り注ぎます。日頃から天井が汚れていないか、カビが生えていないかをチェックしておくと良いでしょう。
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まとめ

浴室の扉には種類があり、特徴や使い勝手がそれぞれ異なります。特に、引き戸に交換したい場合は、扉を引き込むスペースを設けられるのかを確認しなければなりません。引き戸への交換や浴室ドアに不便を感じているなら、リフォームの専門家に相談するのがおすすめです。引き戸に交換するべきか、浴室全体のリフォームを検討すべきか、ベストな提案をしてもらえるでしょう。
◆記事監修
一般財団法人住まいづくりナビセンター 専務理事 
河田 崇

元 独立行政法人 住宅金融支援機構 部長
工務店向けの省エネ基準解説書や木造住宅工事仕様書の作成などに従事
マンション管理士 建築基準適合判定資格者 2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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