リフォームを学ぶ | 床・フローリング
床・フローリング
更新日:2021年10月13日
音に配慮したリフォーム
自分が騒音源にならないために床の音対策を
マンションの音対策で最もポピュラーなのが、床の遮音リフォームです。ものを落としたり歩いたりしたときの振動を伴う音は、意外に響きやすいもの。悪気なく暮らしているつもりでも、階下の住戸に迷惑をかけているケースは少なくありません。特に小さな子どもがいる家庭では、走りまわる音が生じやすいので注意が必要です。
人が「うるさい」と感じる音は、どれくらいの大きさでしょうか。環境庁の告示では、住宅街における騒音の基準値を、昼間で55デシベル以下、夜間で45デシベル以下と定めています。これをわかりやすい生活騒音で見てみると、子どもの駆け足の音は50~60デシベル程度、掃除機や洗濯機の音は60~70デシベル程度といわれています。もちろん、フローリングや床下地、床スラブ(コンクリート)などが遮蔽物となって音が弱まるので、これがそのまま階下に伝わるわけではありません。しかし、不安があるなら対策を施しておくといいでしょう。
床で発生する騒音は、「軽量床衝撃音」と「重量床衝撃音」に大別されます。前者はスプーンが落ちたときなどに生じる軽くて固い音、後者は人がドスンと飛び跳ねたときなどに生じる重くて鈍い音です。
軽量床衝撃音は、同じものを落とした場合でも、床仕上げ材によって変動します。フローリングやPタイルのような硬い素材よりも、カーペットや畳のようにやわらかい素材の方が響きにくくなります。床仕上げ材を交換する場合は、マンションの管理規約を参照して、既存の床仕上げ材と同等以上の遮音性能があるものを選びましょう。一方、重量床衝撃音の伝わり具合は、床スラブの厚みや梁の位置、壁に囲まれた部分の床面積など、建物の構造自体によって変動します。
床スラブは厚いほど遮音性が高くなるので、中古マンションを購入する際は厚みの確認を。目安として20cm以上あると安心です。
また、床スラブに床仕上げ材が直張りしてあるタイプは、転ばし根太や支持脚で浮かせて二重になっているタイプより音が響きやすいもの。天井も同様です。スラブの厚みと一緒に、床や天井の構造もチェックするといいでしょう。
「重ね張り」か「張り替え」か
マンションの床の遮音リフォームは、自分の住戸から階下に音が伝わりにくくするために行うもの。具体的には、既存のフローリングの上に新しい防音フローリングを張る「重ね張り」と、既存のフローリングを撤去して新しい防音フローリングを張る「張り替え」の2つの方法が考えられます。
重ね張りは、張り替えに比べてコストと工期を抑えることが可能。ただし、床材の厚みの分だけ床が高くなるので、ドアなどの調整が必要になることも。一方、張り替えは床の高さがほとんど変わらず、解体するときに床下の傷み具合を確認できるというメリットがあります。
また、既存のカーペットを防音フローリングに張り替える、転ばし根太を支持脚の二重床に変更するといった方法もあるので、リフォーム事業者に相談してみましょう。
ちなみに、床に遮音リフォームを施したとしても、マンションの室内で飛んだり跳ねたりするような強い振動を完全に抑えることはできません。「リフォームをしたから」と油断せず、住民同士節度と配慮を持って暮らす意識も忘れないようにしたいものです。
天井や窓にも音対策を施したい
上階の住戸から聞こえてくる生活騒音を弱めるには、天井の遮音リフォームが必要です。上階の音はスラブから伝わってくるので、これを弱めることが肝心。具体的には、天井仕上げ材の裏側に吸音材や遮音シート、密度の高いグラスウールなどを入れて、天井裏での音の反響を抑えます。
また、二重天井の場合は、天井を吊り下げている吊木を「防振吊木」に交換する方法も。これは、中間部分にゴムなどの防振素材を使ったもので、スラブから伝わってくる振動を弱める働きがあります。
道路や線路沿いなどで交通騒音が気になるような場合、窓にも音対策を施したいものです。とはいえ、マンションの窓は共用部分なので原則交換できません。こういう場合には、既存の窓の内側に内窓を設けて、二重窓にする方法もあり、これならば問題ありません。遮音性だけでなく断熱性も高まるので一石二鳥です。そのほか、結露の抑制、防犯効果も期待できます。既存の窓はそのまま生かせるので、大がかりな工事は必要なく、短時間で済むのも魅力です。念のため、窓の変更に関するマンションの管理規約を確認するのをお忘れなく。
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