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更新日:2022年07月08日
敷地面積・建築面積・延床面積の違いとは?ポイントを分かりやすく解説
物件の広告や図面などで、「敷地面積」「建築面積」「延床面積」など、さまざまな面積の記載を目にした経験がある方もいるのではないでしょうか。
住宅を購入したり、新築したりする際はそれらの面積に目を向ける必要があるため、それぞれの意味や特徴を理解しておくと役立ちます。
この記事では、敷地面積・建築面積・延床面積それぞれの意味や違いなどを分かりやすく解説します。
敷地面積とは
「敷地面積」とは、建物が建っている敷地全体の面積を指します。敷地面積は「土地面積」とも呼ばれ、主に土地を購入する際に広さを確認する目安になります。
測定に当たっては土地や建物の凸凹や斜面が水平であると仮定する「水平投影面積」を使用しますが、ただ土地を真上から見ただけでは斜面や高低差を正確に測定できません。
そのため建築基準法による敷地面積の計算では、水平投影面積によって凸凹や斜面が水平だと仮定して測定するように定めていますが、測定結果が実際の面積と異なるケースもあります。
また、敷地面積には「実測面積」と「登記簿上の面積」の2種類がある点にも注意が必要です。
土地は法務局にて所有者や地番、面積などが登録されていますが、はじめの登記時に作成されたデータのままで記録されています。つまり、登記簿上の面積が水平投影面積によって作成されている場合、実測値と異なっているケースがあります。
したがって、土地や住宅を購入するために敷地面積を確認する際は、実測面積と登記簿上の面積の両方を確認することが必要です。
建築面積とは
敷地面積が土地の面積を表すのに対して、建物が建っている部分の面積を表すのが「建築面積」です。主に土地付き住宅を購入する際の目安になります。
敷地面積と同様に水平投影面積を用いて計測し、「㎡(平方メートル)」の単位で表示します。坪数に換算した「建坪」を単位に使用することがありますが、建築基準法で定義されている用語ではないので注意が必要です。
なお、建築面積はあくまで「建物を真上から見た際の面積」であるため、2階建て以上の場合全ての面積ではない点に注意が必要です。通常は建物の1階部分を建築面積とし、2階以上の部分が1階よりも広い場合はもっとも広い階の面積を適用します。
また、建築面積は柱や屋根、壁など建造物全てを含む、住宅全体の面積から計算するという特徴がありますが、カーポートなど居住スペースではない部分も含まれるため、「建築面積の広さ=居住スペースの広さ」とはならない点に留意しておきましょう。
建ぺい率とは
敷地面積に対する、建築面積の割合が「建ぺい率」です。建築面積の上限を求める際に使う指標であり、次のような計算式で算出します。
建ぺい率(%) = 建築面積 ÷ 敷地面積 × 100
建ぺい率は30~80%の範囲で、都市計画法上の用途地域や都市計画に応じて上限が定められているほか、角地などの条件や建造物の種類によっても上限が異なります。
例えば、敷地面積200㎡の土地に住宅を建築したい場合、建ぺい率上限が50%の地域なら最大で建築面積100㎡までの建物を建築可能です。
建ぺい率の上限によって希望する形での住宅を実現できるかどうかが左右される場合もあるので、あらかじめチェックしておくことが必要です。
延床面積とは
延床面積は、建物各階の床面積の合計で「建物面積」や「延べ面積」とも呼ばれています。
例えば2階建て住宅の延床面積を求める際は、1階と2階の床面積を合計して出します。
建築面積と異なり、吹抜けなど、床が張られていない部分は含まれないため、大まかに延床面積が大きいほど部屋も広いと考えて差し支えないでしょう。
ただし、ゆったり暮らせる大きな住宅を建てる場合は、延床面積の大きさだけに注目するのではなく、広さに比例して価格が高くなるという点に留意することも大切です。
容積率とは
敷地面積に対して、延床面積の割合を示す指標が「容積率」です。
容積率(%)は「延床面積÷敷地面積×100」で求められ、建ぺい率と同様、建物の用途や建てる地域に応じて上限が定められているのが特徴です。
容積率は、一般的な住宅の建築が認められているエリアで50~500%に設定されている傾向がありますが、商業地域においては最大1300%程度に設定されていることもあります。
なお、延床面積の上限を算出したい場合は「敷地面積×法定容積率(%)」で計算できます。例えば敷地面積が200㎡で容積率が50%なら、延床面積100㎡までの住宅を建設可能です。
住宅の建築に関するさまざまな制限
住宅の建築については、ここまでに解説した「建ぺい率」など以外にもさまざまな制限が定められています。これらの条件をクリアした上で、住宅を建てる必要があります。
ここでは、代表的なものをいくつかご紹介します。
斜線規制
建築基準法によって定められている高さ制限的な規制に「斜線規制」があります。
理論上は法定上限容積率が大きければ階数を増やすことで延床面積を上限まで増やせることになりますが、実際には斜線規制によって斜め状の高さ制限があるため、必ずしも建ぺい率や容積率の上限いっぱいに設定された建物を建てられるものではありません。
斜線規制の代表的なものとしては、道路斜線・北側斜線・隣地斜線の3つが挙げられます。
道路斜線
道路に面した建物の一定部分の高さを規制するのが「道路斜線」です。
前面道路の反対側の境界線から、一定の勾配で結んだ斜線の範囲内に建築しなければならないという制限です。道路の日照や採光、通風を確保するほか、周辺に圧迫感を与えない高さに規制するのが目的です。
道路斜線が及ぶ範囲については、用途地域や容積率の限度によって定められます。
北側斜線
北側の隣地に対して、建物の高さを規制するのが「北側斜線」です。
北側の隣地の日当たりに配慮した規制であり、第一種・第二種低層住居専用地域と、第一種・第二種中高層住居専用地域に定められています。
隣地の境界線から垂直に5mまたは10m上の高さから一定の勾配で結んだ斜線の範囲内に建築する必要があり、北側の隣地の建物に太陽光が当たるようにしなければならないと定めています。
隣地斜線
隣地との環境を良好に保つため、建築物の高さを規制するのが「隣地斜線」です。
隣地の建物の日照や採光、通風に配慮することを目的として、一定の高さを設けなければならないとしています。
用途地域によって基準の高さと傾斜勾配が定められており、隣地境界線上の20mまたは31mを超える部分について高さが制限されています。
接道義務
接道義務とは、都市計画区域内で建物を建築する際に遵守する必要がある義務を指します。
建築基準法第43条において、建物は原則的に4m以上の道路に2m以上接している必要があるとしており、これに違反している場合は住宅の新築工事ができません。
主に火災発生時に消防車が通れるスペースや、災害発生時の避難経路を確保する目的から設定されています。
日影規制
日影規制とは、周囲の日照を確保すべく建物の高さを制限する規制です。
1年でもっとも影が長くなる冬至日を基準として、「午前8時から午後4時まで(北海道のみ午前9時から午後3時まで)の間、その場所に一定時間以上連続で影が生じないようにしなくてはならない」としています。
日影時間は建物を建築する場所の用途地域と高さによって異なり、一定時間の範囲で細かく制限されています。
一般的な2階住宅であれば規制に反するケースは少ないものの、3階建てや屋根を高くする設計の場合、特に注意が必要となるでしょう。
マイホームの一般的な広さはどのくらい?
「なるべく大きくて広い家を建てたい」と考える方も少なくありませんが、大きな住宅ほど建築費用がかかりますし、大きさや広さに比例してメンテナンスの手間や維持費などのコストも増大してしまいます。
そこで、戸建住宅の適正な面積や平均的な面積を把握した上で、マイホームの建築を検討するのがおすすめです。
住宅金融支援機構「2020年度フラット35利用者調査」では、全国の土地付注文住宅やマンションなどの住宅種類別の住宅面積は以下となっています。
- 注文住宅:124.4㎡
- 建売住宅:101.1㎡
- 新築マンション:66.2㎡
- 中古戸建:113.2㎡
- 中古マンション:67.9㎡
ただし、上記はあくまで住宅の種類別に見た平均値です。マイホームの快適な広さを考える上では、家族の人数に応じて適切な広さを確保することが不可欠です。
そこで、国土交通省が策定する「住生活基本計画(全国計画)」では、住宅の面積に関する水準として「誘導居住面積水準」を提示しています。
誘導居住面積とは「豊かな生活と多様なライフスタイルに対応できる必要な住宅面積」を表した数値であり、その指標は以下の通りです。
- 単身者:55㎡
- 2人以上世帯:25㎡×世帯人数+25㎡
そのため、上記に照らし合わせれば「4人家族なら125㎡以上、5人家族なら150㎡以上」が快適に過ごせる広さの目安といえます。
住宅の面積についてもっと知りたい・相談したい時は?
住宅の建築については、敷地面積・建設面積・延床面積のみではなく、算出に必要な建ぺい率や容積率も理解しておかなければなりません。さらに、斜線規制などのさまざまな制限・義務を考慮する必要もあります。
安心できる建築のためには複雑な専門知識への正確な理解が必要になることも多いため、リフォーム会社に相談して、目的や悩みの解決をサポートしてもらうことをおすすめします。
住宅の新築やリフォームをした後で後悔が残らないよう、実績豊富で信頼性の高いリフォーム会社を複数ピックアップし、さまざまな視点からの中立的なアドバイスをもらうのが効果的です。
まとめ
住宅の建築やリフォームにおいて、敷地面積・建設面積・延床面積の違いや各種制限を理解しておくのはとても重要です。
土地や住宅を探す際に、どのくらいの大きさの建物を新築またはリフォームできるのかを判断するのに役立ちます。
ただし、用途地域や自治体などによってさまざまな規制や条件があるため、専門家にアドバイスをもらいながら、着実に進めていく必要があります。理想的なマイホームの建築やリフォームする際の参考にしてみてください。
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