リフォームを学ぶ | ノウハウ

ノウハウ

更新日:2024年06月27日

【事例ご紹介】和室を洋室にするリフォームのポイントと費用を解説します

掲載日:2024年4月26日

写真:
和室から洋室へのリフォームは「高齢の家族が寝起きしやすくしたい」、「子供部屋にしたい」といった理由から、多くの方が検討する人気のリフォームの一つです。

今回は、和室から洋室へリフォームする際のポイントや注意点、メリットなどを解説します。また、費用の目安も載せていますので、ぜひ参考にしてみてください。

和室から洋室へリフォームするメリット

和室から洋室へリフォームすると、以下のような多くのメリットを得られます。
写真:

掃除がしやすい

まず挙げられるのは、掃除のしやすさです。
和室の畳はダニが奥に逃げやすい構造ですので、掃除機をかけても表面の掃除にしかなりません。そのため、ほうきでしっかり掃き掃除することが必須です。また、畳は湿気を吸いやすいので、カビ発生を防ぐために掃き掃除の後、布で乾拭きするといったひと手間がかかります。

一方、洋室のフローリングなら掃除機をかけるだけで基本的に掃除が完了します。ゴミを取り除いた後にフローリングワイパーで拭き掃除すれば、常に清潔な状態を保てるでしょう。
写真:

メンテナンスの労力や費用を抑えられる

使用環境にもよりますが、畳は10~20年が寿命とされています。長く使用することはできますが、毛羽立ちやささくれが目立つようになると見た目が悪いうえ、裸足で歩くと怪我をする恐れもあります。また、障子や襖も穴が開いたり汚れたりすると張り替える必要がありますので労力や費用がかかりがちです。和室に対して洋室は、基本的にはお手入れやメンテナンスの負担が軽いので労力や費用を抑えられます。
写真:

家具の跡が残らず模様替えしやすい

畳の上に家具を置くとへこんで跡が残り、家具の買い替えや模様替えの際に気になる場合があります。また、畳の日焼けなどにより家具を置いていた部分と周囲の色が違うことも起こり得ます。さらに、模様替えの際に重たい家具を引きずって移動すると、畳を傷めてしまう恐れもあります。
一方、洋室のフローリング床の場合、家具を引きずることで傷がつくことには注意が必要ですが、畳に比べて固いため家具の設置で床がへこむケースは少ないでしょう。床の色褪せも畳とケースと比べるとそこまで気にならないでしょう。

好みの家具を置きたい方や、模様替えを存分に楽しみたいなら和室から洋室へのリフォームをおすすめします。
写真:

ご高齢の方や体が不自由な方が生活しやすくなる

和室から洋室へリフォームすると、車椅子で移動しやすくなるのもメリットの一つです。畳でも移動はできるものの、車椅子を操作しにくかったり、畳が早く傷んでしまったりします。
フローリングに張り替えれば、車椅子でもスムーズに移動が可能です。

また、足腰が弱くなってくると、布団から起き上がる動作に負担を感じます。和室にベッドを設置することもできますがベッド本体の重さで畳を傷めてしまいがちです。

洋室にリフォームすることはご高齢の家族が快適に暮らすことにつながるでしょう。

和室から洋室へリフォームする際の費用目安

和室から洋室へリフォームする際の費用は、施工箇所によって異なります。以下では全面的なリフォームに加えて、施工内容別に費用の目安を解説していますので、参考にしてみてください。ただし、あくまで目安であり、施工面積や使用する部材の種類など、さまざまな条件によって変わります。具体的な金額についてはリフォーム会社に見積りをもらいましょう。

全面的なリフォーム

全面的なリフォームでは、壁・天井・床の張り替えから収納・建具の変更まで一括で工事を実施します。施工場所を限定せずに、和室を全面的に洋室へリフォームする際の費用の目安は、6~8畳でおよそ50~100万円です。ただし、部屋の広さや使用するフローリング材などによって異なる点に注意してください。

畳をフローリングに変更

畳をフローリングに変更する際の費用の目安は、5~30万円ほどです。およそ20万円前後が多いパターンですが、床の面積やフローリングの材質などによって変わります。また、強度が弱い場合には下地に横木を追加する工事を施したり、築古の家だと断熱材を追加したりしますので、施工内容によって大きく金額が変わる点に留意しておきましょう。

天井・壁の張り替え

天井や壁の張り替えは、床と壁のセットでおよそ15~30万円が費用の目安です。ただし、土壁からリフォームするケースでは、下地を塗装しなければなりません。また、土壁の状態によっては剥がす作業も加わるため追加費用がかかります。リフォーム費用を抑えるためにどういった工事が良いか、何か工夫があるかなどを積極的にリフォーム会社に相談してみましょう。

襖をドアへ変更

襖をドアへ変更する際は、およそ5~20万円が費用の目安です。なお、1カ所あたりの費用であり、変更する枚数によって金額が変わります。また、施工内容によって大きく金額が異なる点にも注意が必要です。引き戸へのリフォームなら比較的小規模な工事で済むのに対して、開き戸への変更は大掛かりな工事になりがちです。

押し入れをクローゼットへ変更

和室の押し入れをクローゼットへ変更する際は、およそ10~25万円が費用の目安です。襖を残して内側のみを変更するリフォームなら費用を抑えられます。

ただし、施工内容によって金額が大きく異なる点に注意しましょう。例えば、押し入れの内部をウォークインクローゼットにしたり、間取り変更が伴う工事でクローゼットを新設したりする場合はさらに費用がかかりますので、見積もりをとって確認しましょう。
写真:

和室から洋室へリフォームする際に押さえておきたいポイント

和室から洋室へリフォームする際の注意点を解説します。施工後に後悔しないためにも、ポイントを押さえておきましょう。

防音性に注意する

畳をフローリングに張り替えると、音が響きやすくなります。特に、2階以上の部屋なら下の階に配慮して防音対策をおこないましょう。また、マンションなどの集合住宅では、防音規定や遮音等級が指定されている場合があります。フローリングには遮音性を確認できる「L値」が定められているので、マンションの管理規約などを確認して問題がないのかチェックしておきましょう。併せて、近隣になるべく迷惑をかけないように防音床材を採用するなど、音が響きにくい対策も検討してみてください。

真壁と大壁の違いに注意する

マンションの和室は大壁が一般的ですが、戸建ての和室は、柱を露出させる「真壁(しんかべ)」になっている場合があります。洋室へリフォームする際に、柱を見えない状態にする大壁仕様に変更する場合には耐火ボードの設置や壁の厚みを調整するなどの施工が必要になり、工期や費用が増える点に留意しておきましょう。

クローゼットは湿気に注意する

和室の押し入れをクローゼットへリフォームするなら、湿気対策をおこないましょう。クローゼット内は通気性が悪く、湿気のこもりやすい環境です。湿度の高い状態を放置しておくとカビが繁殖し、収納した衣類や寝具などに被害が及びます。吸放湿性壁紙や珪藻土壁などの調湿建材を積極的に活用して、安心して使える状態を保ちましょう。

壁のクロスは目的に合わせて選ぶ

和室から洋室へリフォームする際、壁に張るクロスは目的に合わせて選びましょう。どうしてもデザインに注目しがちですが、機能性に優れたクロスが販売されているのでチェックしてみてください。例えば、子ども部屋なら汚れにくい加工を施しているクロスや、抗菌・抗ウイルスに効果が期待できるタイプがおすすめです。湿気がこもりやすいのが気になるなら、防カビや吸放湿効果があるクロスが適しています。

フローリングの種類をチェックする

フローリングには、さまざまな材質があります。見た目はもちろん、質感や機能性、価格も異なりますので確認しておきましょう。比較的安価なのが「合板フローリング」です。複数の板を重ね合わせたフローリングで、表面にプリントシールなどをスライスした「ツキ板」を貼り付けています。耐水性や耐候性に優れているほか、傷に強いのも特徴です。

自然の木をそのまま利用しているのが「無垢フローリング」。木ならではのナチュラルで温もりのある質感で、高級感あふれる見た目も魅力です。ただし、合板フローリングと比べて高価格で、傷が付きやすいデメリットがあります。また防音性も低く、マンションに施工する場合は防音下地を入れる必要がある点に注意が必要です。

補助金制度を利用する

和室から洋室へのリフォームでは、国や地方自治体の補助金制度を利用できる場合があります。特に、ご高齢の両親を介護する目的でリフォームを検討しているなら、補助金を受けられるのかチェックしておきましょう。ただし、各補助金制度によって条件が複雑でわかりにくい場合があります。不明な点があれば、リフォーム会社に確認してもらうのがおすすめです。

和室から洋室へリフォームにかかる期間

リフォーム内容や施工面積などによって工期は異なりますが、天井と壁の張り替えといった簡単な施工で1~2日間、床の張り替えで最大5日ほどが目安です。部分的なリフォームなら、2~4日程度と考えておけば良いでしょう。ただし、和室全体を全面的に洋室へリフォームする場合は、長い工事期間を要するケースもあります。

和室から洋室へリフォームした事例

ここからは、和室から洋室へリフォームした事例を「リフォーム評価ナビ」からご紹介しますので、見ていきましょう。
※以下の参考事例は全て「リフォーム評価ナビ」登録事業者の施工事例です。
写真:

雰囲気満点の寝室|ビンテージホームのリフォーム事例

画像:左<リフォーム前>、右<リフォーム後>

和室と物置の2室をつないで一室の寝室にリフォームしました。
床をカーペットにしたことで、足触りが家での暮らしに癒しを与え、なんとも言えないくつろぎ空間になっています。
身体の中で、足裏は、家の中で唯一直接触れ続ける箇所でもありその触感について配慮することは、毎日の暮らしの心地よさに大きく影響するでしょう。
ウイリアムモリスのアクセントクロスとシャンデリアにより、ホテルのような高級感を演出し、非日常感を感じる空間でもあります。
写真:

【築26年】戸建てフルリノベ|リノベ・デザイン 山形店のリフォーム事例

画像:左<リフォーム前>、右<リフォーム後>

築26年約80坪の住宅を、一部のお部屋を残し内装・外装まるごとリノベーション。
畳コーナーや縦格子がついた、約30帖の広々LDKや、3連窓がアクセントの2階ホールなど、デザイン性と機能性が両立したお住まいに。

写真:

マンション和室改修|住まいるリフォームのリフォーム事例

画像:左<リフォーム前>、右<リフォーム後>

和室(6畳)から洋室への改装をご相談頂きました。床材はマンション規定である防音レベルのLL45以上をクリアするNODAの「ネクシオ ウォークフィット45」をご提案しました。お手入れが簡単で表面が滑りにくいフローリングです。クローゼット扉色をイデアオーク、フローリングのカラーはオーク柄ライト色を選ばれて、とてもシックで落ち着いた洋室に生まれ変わりました。

まとめ

和室から洋室へのリフォームには、多くのメリットがあります。日々の掃除が楽になったり、ご高齢の方が暮らしやすくなったりしますので検討してみてはいかがでしょうか。
ご自宅のリフォームに関して疑問や不安を感じたら、住まいづくりのプロに相談してみましょう。
◆執筆者
一般財団法人住まいづくりナビセンター 専務理事 
河田 崇

元 独立行政法人 住宅金融支援機構 部長
工務店向けの省エネ基準解説書や木造住宅工事仕様書の作成などに従事
マンション管理士 建築基準適合判定資格者 2級ファイナンシャル・プランニング技能士

よかったらシェアしてね