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更新日:2021年08月12日

自宅のトイレをバリアフリーにするときのポイントは?場所ごとに解説

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将来に備えてトイレのバリアフリーを考えている、トイレの使用が難しくなったので使いやすいトイレにリフォームしたい、トイレのバリアフリーに必要な知識を知りたいと考えている方は多いのではないのでしょうか。

年齢による身体機能の低下や、車椅子での生活をしなければならない場合、バリアフリーなトイレへのリフォームを考えることは大切です。

この記事では、トイレのバリアフリーに関するポイント、どのようなリフォームの例があるのか解説します。

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トイレをバリアフリー化する際のポイント

トイレのバリアフリー化には、さまざまな機能や設備があります。

バリアフリー化を考えるにあたって、使用する人によって必要な機能とそうでないものがあります。

ここでは、トイレのバリアフリー化を考えるにあたって、要点を絞って解説します。

便器だけではなく、トイレの室内全体のバリアフリー化を考える

トイレのバリアフリー化を考えるには、利用する人の身体機能や、介護の必要があるかどうかに応じて、トイレの個室である室内全体のバリアフリー化を考える必要があります。

便器を最新式のものに交換するだけでもバリアフリー化になりますが、それだけでは不十分な場合もあります。そのため、便器の交換だけではなく、トイレの室内全体のバリアフリー化をすることが大切です。

介護を必要とする場合は、トイレの個室内に介護するためのスペースを必要とするため、個室内の広さは一人で利用できる人に比べて広めのスペースが必要となります。

このように、トイレのバリアフリー化を検討する際は、利用する人の身体機能がどの程度なのか、利用時にどの程度のスペースを必要とするのかまでを考える必要があります。

トイレの不便さを解消できるものを取り入れる

トイレのバリアフリー化を考える際、現在のトイレを使っていて不便だと感じる部分について、それらの不便さを取り除く設備や機能を取り入れることを検討するのも良いでしょう。

たとえば、和式便器を使用していて、立ち上がりの負担が大きく、不便を感じている場合には、洋式便器を取り入れることも立派なバリアフリー化といえます。

また、トイレ掃除の負担が大きいのであれば、掃除をしやすいようトイレを広めに改築する、お手入れしやすい便器に交換するなどのリフォームを検討するのも良いでしょう。自動洗浄付きの便器を導入するのも効果的です。

現在使用しているトイレや、外出先で利用したトイレに感じた不満や、不便だなと思うことを解消できる快適なトイレを目指しましょう。

将来的に何が不便になりそうかを考える

トイレのバリアフリー化を検討する際は、将来トイレを使い続けるにあたって、どんなときにどんな動作が負担になりそうかを考えることが大切です。

たとえば、「加齢により足腰が弱くなった結果、立ち座りの動作の負担が大きくなる可能性」を考えます。

この場合、洗浄レバー式ではなく洗浄リモコン式の便器を導入することで、体の負担を増大させる要因を事前に取り除くことができるでしょう。洗浄リモコンを導入することで、便座に座ったまま水を流しやすくなるメリットもあります。

また、車椅子に乗ったまま使用できる車椅子対応型の便器を導入することや、車椅子に乗って出入りしやすいように、事前にトイレ室内全体の寸法を広く取っておく、出入り口の幅や扉の種類などを介助に適した内容にしておくことも効果的です。

トイレのバリアフリーリフォームの具体例

実際にトイレのバリアフリー化をするにあたって、どのような設備や機能があるのでしょうか。

ここでは、トイレのバリアフリー化に役立つ設備や機能を個別に紹介します。

洋式便器にする

和式便器を採用しているトイレの場合、洋式便器に変更するだけでも効果があります。

足腰に負荷のかかる姿勢を維持する和式便器に比べ、便座に座れる洋式便器は比較的体への負担が少ないという特徴があります。

そのため、加齢や身体的な障害により身体機能が低下している人や、車椅子使用者であっても快適に使用することができるでしょう。

バリアフリー対応の多機能な便器にする

便器には様々な機能を備えたものが販売されており、例を簡単に挙げると以下のようなものがあります。

  • 蓋の開閉を自動で行ってくれるもの
  • 自動洗浄機能を備えているもの
  • 汚れのつきにくい材質が使用されているもの
  • コーティングが施されているもの
  • 背もたれのついているもの

  • たとえば、蓋の自動開閉機能があれば、自分の腕で蓋を開け閉めする動作が必要ないため、高齢者や車椅子使用者でも快適に使うことができるでしょう。

    自動洗浄機能があれば、トイレのお手入れの回数が減り、掃除の負担を軽減することができます。

    自分や家族が不便に感じているポイントはどこなのかに注目して、それらの問題を解消または軽減できる機能を搭載した便器を採用するのがおすすめです。

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    手の届きやすい場所にボタンやリモコンを設置する

    壁面に温水洗浄便座の操作ボタンや便器の洗浄ボタン、蓋の開閉ボタンなどのリモコンを設置し、便器に座った状態でもトイレを操作できるようにすることが効果的です。

    便座に座っている状態や車椅子トイレを使用中の状態でも手の届きやすい位置にリモコンを設置することで、身体機能が制限された人でも簡単かつ快適にトイレを使用することができるでしょう。

    どのようなリモコンを設置するか選ぶ際は、なるべく大きくて少ない力でも押しやすいボタンや、文字が大きくて分かりやすく押し間違えにくいようになっているボタンのリモコンを選ぶと、さらに使いやすくなります。

    また、壁面にリモコンを設置するタイプではなく、便器にボタンが付属するタイプのものを選ぶこともおすすめです。

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    手すりを設置する

    トイレの出入口から便器までの道のりに沿って壁面に手すりを設置することで、足腰が弱い方が手すりを伝って移動することができます。

    そのため、ドア開閉直後の移動時の足腰の負担や転倒のリスクを軽減することができるメリットがあるでしょう。

    また、便器を囲うように手すりを設置すれば、車椅子でトイレを利用する際に、車椅子から便器への乗り移りや方向転換をする際の動作を支えることができます。

    必要な場所や想定される状況に応じて手すりを設置することで、どのような人にとっても使いやすいトイレになるでしょう。

    出入口から便器までの動線に手すりを設置する場合は、行動範囲に合わせて、連続して設置できる横型の手すりが、便器のすぐそばに手すりを設置して姿勢をサポートできるようにしたい場合は力が伝わりやすい縦型の手すりがそれぞれおすすめです。

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    トイレ室内の床材を張り替える

    トイレ室内の床材を滑りにくい素材のものにすることで、トイレ室内での転倒のリスクを少なくすることができます。

    また、身体機能に不自由がある場合、思わぬ拍子に床を汚してしまう可能性もあります。そのため、抗菌性能が強い材質や、シミになりにくく掃除のしやすい材質を採用することもおすすめします。

    床材には抗菌加工が施されているもの、汚れのつきにくいものなど、材質によってそれぞれ特徴が異なります。家を建てる前やリフォーム時にしっかり検討しておきましょう。

    ただ、トイレの床材を張り替えると、廊下など前室の床材との間に見切り(異なる素材のつなぎ目の部分)が出る場合があります。段差になってしまうこともありますので、施工には注意が必要です。

    出入口の扉を引き戸にする

    一般的な開閉式のドア(開き戸)の場合、出入口部分に段差ができてしまうなど車椅子や高齢者にとっては使いにくい仕様になっていることが多いです。そのため、可能な場合はトイレのドアを引き戸にすることを検討するのも良いでしょう。

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    段差を解消する

    身体的な障がいを持たない人にとっては気にならないレベルでも、トイレの出入口に段差があると、高齢者や障がいを持つ人、車椅子使用者にとっては障害(バリア)になります。

    ほんのささいな段差でもつまずきや転倒のリスクがあるでしょう。

    先述の引き戸にするなどの方法のほか、小さなスロープの設置などで可能な限り段差を解消する工夫が必要になります。

    また、リフォームの状況によっては、段差がある部分を床の高さに合わせることが有効です。車椅子使用者や足腰の弱い方などでも入りやすく、誰にとっても楽で快適なトイレにすることができます。

    出入口のスペースを広くする

    トイレの出入口のスペースを広くすることもバリアフリー化のひとつです。

    車椅子使用者や足腰の弱い高齢者が安全かつ快適にトイレに出入りすることができますし、リフォームなどで手すりを設置することもしやすくなります。

    トイレの出入口では方向転換やドアの開閉を行うことが多いため、車椅子が無理なく入れ、快適に移動できるスペースを確保しておくと、あらゆる人の出入りが楽になります。

    また、リフォームによる間取りの変更やドアの交換が難しい場合でも、普段からトイレの出入口付近に物を置かないなどの最低限の対策を行っておくと良いでしょう。

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    トイレのバリアフリー化には補助金が出る場合がある

    バリアフリー化を目的として住宅をリフォームする場合、特定の条件を満たすことで国や自治体などの補助金の対象となる場合があります。

    補助金が利用できるとリフォーム費用の負担を軽減できるため、補助金の対象となる場合は、工事を依頼するリフォーム会社に事前に相談して忘れずに申請を行いましょう。

    バリアフリー工事に補助金が出る場合は、大きく2つの方法があります。

  • 介護保険による補助金(自宅のトイレを交換する場合)
  • 地方自治体による補助金(トイレの交換、面積の拡張などを行う場合)

  • 以下で、それぞれ簡単に解説します。

    介護保険による補助金

    要介護認定や要支援認定を受けている家族がおり、かつその家族が福祉施設への入所や病院へ入院していない場合、トイレ交換の工事にかかる上限20万円の費用のうち、収入に応じて7〜9割が補助金の対象となることがあります。

    補助金の適用を受け取るためには工事の着工前に市区町村に申請を行い、これから行うリフォーム工事が給付の対象となる工事内容のものかを確認する必要がありますので、注意しましょう。

    地方自治体による補助金

    お住まいの地方自治体にもよりますが、トイレの改修やバリアフリー工事にかかる費用、汲み取り式のトイレから水洗トイレへの変更を行う等が、補助金の対象となる場合があります。

    補助金の具体的な金額や、どのような工事や設備交換等のリフォームが対象になるかどうかは、自治体により異なります。

    お住まいの地方自治体のホームページや、一般社団法人「住宅リフォーム推進協議会」の「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」などを使い、自分で調べることもできますので、リフォームを検討する際には補助金についても調べてみると良いでしょう。

    まとめ

    今回は、トイレのバリアフリーを考えるポイント、リフォームの具体例や、リフォームにかかる費用や補助金について詳しく解説しました。

    トイレのバリアフリー化は、使用する人や将来の想定により、どの程度のバリアフリー化をするかが異なってきます。そのため、住宅のバリアフリー化の施工経験が豊富なリフォーム業者に相談しながら検討するのが効果的でしょう。

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