古民家リフォームのメリットデメリットとポイント

昔ながらの日本的な良さが見直されつつある現代にあって、古民家のリフォームも注目されています。木の持つ温かみは日本人の感覚に合うものであり、時代を経た木材を再利用することで生まれる味わい深い雰囲気や、貴重な木材を無駄にしないエコな面も支持されています。
一方、古民家は一軒一軒状態が異なるため、リフォームの手間やコストはケース・バイ・ケース。古民家ならではのメリットとデメリットをあらかじめきちんと理解したうえで、リフォームに取り組むことが大切です。

古いものに現代的な味付けをする楽しみ

古民家の魅力は、まず年代を経た木材の持つ味わい深さが挙げられるでしょう。時を重ねていくほど風合いやつやが増し、他にはない雰囲気を生み出します。古材というとネガティブなイメージがありますが、実は想像しているよりも優れた耐久性を持つ素材でもあります。例えば樹齢100年のヒノキなら伐られてから 200〜300年は強度が保たれるともいわれ、劣化が始まるのは1200年が経った頃から。ケヤキも劣化は800年後ぐらいに起こるといわれており、こうした木材を再利用せずに廃棄してしまうのは大きな損失。
今の時代、太い柱や梁を新しく手に入れようとすると、相当費用がかかるうえ、思うようなものが手に入るとは限りません。昔は国産で良質の太い木材が使われている家が多いので、ぜひ再利用したいものです。

古民家リフォームのもう1つの魅力は、古いものの個性を生かしつつ、新たな素材やデザインを加えて味付けし、唯一無二の家をつくり出すおもしろさ。
畳をフローリングに変えるだけでも随分印象が変わりますが、構造上必要な柱だけを残し、大胆に間取りを変えて現代のライフスタイルに合わせるリフォームが人気です。水回りなどには最新の設備を組み込んだ方が暮らしやすいですが、新しいものと古いものをバランス良くミックスすることで、モダンな印象のある現代の古民家へと生まれ変わらせることができます。
新しい建材を加える場合は、自然素材を使ってテイストを揃えることや、色合いに気を配るなど、古民家の良さを失わないしつらえを心がけると、違和感なく仕上がります。

古民家の短所も理解しておきたい

古民家で考えなければならないのは、元の状態のままでは、快適に暮らすための性能が現代の新しい建築に比べると著しく劣るということです。特に配慮したいのが、断熱性と気密性。壁や床に気密シートや断熱材を追加するといった対策は欠かせません。熱の大きな出入口となる窓に対しても、サッシに取り替えたり、断熱ガラスにしたりするといった方法が考えられます。
とはいえ、すべてを新しくしてしまうと古民家の良さが半減してしまうもの。何を残し、どこを新しくするのか、バランスが大事になってきます。

また、工事費がふくらみがちなことにも注意が必要です。傷み具合によっては予想以上に費用がかかることも。
移築する場合は、解体、部材の洗浄、運搬のための費用が発生することも忘れてはいけません。また、かつては家の端にあった水回りを家の中心に配置するなど、大がかりな間取り変更も工事費を押し上げる原因に。さまざまな要因でコストがかさむ可能性があるので、余裕を持って資金計画を立てたいものです。

なお、築年数の古い古民家は固定資産税が安いのが魅力ですが、リフォームの際に増築した部分に関しては、新築としての固定資産税や取得税がかかるので要注意。
増築後の全体の面積や、リフォームの内容次第で判断が変わってくるので、詳しくは自治体に確認してみましょう。

古民家の状態については、伝統建築に詳しい古民家鑑定士等の専門家や古民家リフォームに詳しい業者に診断してもらうのがいちばんです。そのうえで古民家の良さを失わず、安全性を確保する補強方法についてアドバイスしてもらうといいでしょう。古民家鑑定士は耐震性だけではなく、古民家のコンディションをさまざまな観点から診断。さらに、今後のメンテナンスの計画など、古民家を長く使い続けていくための計画をサポートしてくれるはず。
古民家では土台の沈下や、雨漏りやシロアリ被害による木材の傷みなど、見えない部分で劣化していることも多く、細部までしっかり調査してもらいましょう。

物件探し、業者探しのコツとは

「空き家バンク」は地方公共団体が地元の空き家情報を広く募集し、移住者や交流希望者向けに物件情報を提供する仕組みです。
20年以上昔からあるシステムですが、リノベーションのブームとともに認知度が高まったといえます。地方自治体が情報元なので、安心感があり、地域活性のために補助金が出ることもあるので、移住希望者はこの仕組みを使うとメリットが大きいでしょう。移住する場合は生活面の疑問など、自治体にさまざまな相談に乗ってもらえるのも良い部分です。

住むエリアが決まっていて土地勘があるなら、人づてに聞いて探すという方法もあります。もし現地の知り合いがいれば、そうしたルートから不動産業者などでは扱っていない物件情報を得られるかもしれません。また、事前に知り合いを作っておいた方が、移住してからも何かと助けてもらうことができます。

古民家リフォームの場合、どんな業者に頼めばいいのかも悩ましいところ。古民家鑑定士などの有資格者がいて、古民家を扱う経験が豊富な業者に頼めれば理想的ですが、実際のところ古民家リフォームに精通している業者はそう多くありません。業者を探す場合は、日本の在来工法である、木造軸組工法の実績が豊富かどうかが1つの目安になります。
古民家とはいえ、あくまで日本の在来工法のリフォーム。貴重な文化財級の古民家でなければ、専門家集団にこだわる必要性はさほど高くないという判断もできます。こうした業者をピックアップし、複数社から見積もりを取るなど、依頼の方法は一般的なリフォームと大差はありません。あとは古民家の良さを生かしつつ、自分たちが望むものを提案してくれるかどうかといったセンス的な部分や、つき合いやすさを判断基準にして、マッチする業者を探すことが大切です。