リフォームを学ぶ | リノベーション

リノベーション

更新日:2022年12月16日

リフォームとリノベーションの違い〜自分にあっているのはどっち?!〜

2022年12月16日掲載

写真:
家の改修や改築を検討中だ、という人のなかには「うちは「リフォーム」なの?それとも最近よく聞く「リノベーション」なの?」と、「リフォーム」と「リノベーション」の違いがよくわからない人もいるのではないでしょうか?
ここでは、リフォームとリノベーションの違いやそれぞれのメリット・デメリット、そして、どちらが自分に合っているのかをタイプ別に紹介していきます。

リフォームとリノベーションの違い

「リフォーム」と「リノベーション」。実は、この二つには明確な線引きはありません。それぞれのリフォーム会社、あるいは施主自身で「リノベーション」「リフォーム」と使い分けている、というのが実情です。
一般的には「リフォームは設備交換などを含む小規模な改修工事」「リノベーションは大規模な改修・改築工事」と思っている人も多いのではないでしょうか。
日本の住宅産業で、「リフォーム」が使われ始めたのは1980年ごろまでさかのぼります。1982年に当時の建設省が協賛した「第1回住まいの増改築フェア」が開かれました。壊れた設備を直す・取り替えるような修理だけではなく、「トイレを洋式にする」「よりよい給湯器にする」など「住みにくい状態をよりよくする」ための取り組みが進みました。そして、「増築」「改築」「改修」といった漢字二文字よりも「リフォーム」という用語が一般化されていったと言えるでしょう。
一方、「リノベーション」は2000年代に入ってから聞かれ始めた言葉です。中古マンションを購入した際、一旦、内装を大幅に取り払い、コンクリート構造躯体のみにまで戻したうえで自分のライフスタイル、好みにあった間取りや最新型の設備を導入するような方法が、住宅取得の選択肢の一つになるようになりました。
最近では、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供している住宅ローンの商品名に「フラット35リノベ」というものがあったり、「魔法のリノベ」というテレビドラマが放映されたりしたように、「リノベーション」「リノベ」という用語が広く使われるようになってきました。それに伴い「リノベーション」のイメージが拡大し、「リフォーム」との境界線がややあいまいになってきたような感もあります。
したがって、「リノベーション」と言っても、施主の家族の中でも想像しているイメージ、工事の範囲・内容が大きく異なっている場合があります。リフォーム業者に「リノベーションをして欲しい」と要望を伝えたとしても、事業者側では全く異なる受け止め方、例えば、単なる部分的リフォームをイメージしてしまう可能性もあります。
したがって、実際に工事を発注する際には、「リフォーム」「リノベーション」という用語だけで想像・判断するのではなく、具体的にどこまでの部位について、どのような工事を行うのか、その中身について皆が合意しておくことが極めて大切ですので注意しましょう。
明確な線引きがない「リフォーム」と「リノベーション」ですが、この記事では頭の整理として、便宜的に次のように定義づけることとします。

リフォームとは

家は、建てた瞬間から経年劣化が始まり、歳月とともに老朽化していきます。
リフォームとは、老朽化した建物の部位を元の状態に戻すことを前提とした工事のことです。経年劣化により汚れたり傷ついたりした壁紙や床材を張り替え、寿命によって破損したキッチンや浴槽、トイレ、給湯器などの交換、外壁塗装の塗り直しなどが該当します。
その際に、最新型の建材、設備を採用することや、性能を向上させる工夫を行うこともあると思います。
単なる現状復旧なのか、性能向上を図るか否かにかかわらず、ある一部位、設備機器などの部分的、局所的な工事を、本稿では「リフォーム」と定義づけることとします。

リノベーションとは

リノベーションとは、もともと、歴史的建造物や古民家、旅館などを改修・改築し、建物を再生させて、その歴史や人々の思いを後世まで残していこう、という取り組みでした。
やがて、中古住宅などを再生し、その資産価値を高めるとともに、住む人のライフスタイルに合わせて、快適に住むことができるように再生することを「リノベーション」と呼ぶようになっていきました。
一般社団法人リノベーション協議会では、リノベーションを『中古住宅に対して、機能・価値の再生のための改修、その家での暮らし全体に対処した、包括的な改修を行うこと』と定義しています。
リノベーションとは、古くなった家を蘇らせ、家の性能を新築の状態より向上させたり、価値を高めたりするために行う工事です。そのため、一部の交換だけではなく、構造や躯体などを残して解体し、建て替えとあまり変わらないような大規模改修工事となるケースが多くなります。
単なる設備の交換、局所的な改修ではなく、住宅全体あるいは居室全体について、性能向上を図る。あるいは施主の趣味・趣向・ライフスタイルに合わせて全面的に改修を行う工事を、本稿では「リノベーション」と定義づけることとします。
写真:

リフォームとリノベーションのメリット・デメリット

ここでは、リフォームとリノベーションのメリット・デメリットについて説明していきます。

リフォームのメリット・デメリット

リフォームのメリット・デメリットは以下です。

フォームのメリット

リフォームは古くなった家を元の状態に戻す比較的小規模な工事であるため、次のようなメリットがあります。

 

これまでの暮らしにおけるストレスを解消し、快適に過ごすことができる
家が古くなったことで感じていた暮らしの中のストレスを解消できます。
たとえば、汚れた壁紙は家の中の雰囲気全体が暗くなりがちですし、キッチンや浴室などの水回りの設備が古くなると、使い勝手が悪くなるだけでなく、汚れが落としにくくなり、お手入れに時間がかかってしまいます。
リフォームすることで、こうしたストレスが解消され、快適な毎日を過ごすことができるようになるでしょう。

 

家の寿命をのばすことができる
家を構成するものには、それぞれに耐用年数があり、それを目安として修理・交換が必要です。これを「家のライフサイクル」といいます。
この「家のライフサイクル」のタイミングでリフォームすると、家の寿命を延ばすことができます。

 

工期が短い
最近の住宅設備では、工期が短くなるように進歩していたり、工事が部分的・局所的であったりするため、リフォーム時の工期が短くて済む場合があります。

 

住みながら工事ができる
リフォームの場合、キッチンや浴室、リビングなど、それぞれの部位ごとに工事を行えます。
そのため、工事のために仮住まいとなる部屋などを借りなくてもよい場合があります。

 

税金面の負担が少なくなることがある
小規模な工事では、おそらく固定資産額があがることはありません。
むしろ、省エネ改修、バリアフリー改修工事など、性能向上工事がリフォーム内容に含まれていると、固定資産税の軽減措置等を受けることができます。

 

リフォームのデメリット

リフォームは、次のようなデメリットがあります。

 

大幅な間取り変更ができない
柱や壁、梁など、構造上重要な箇所は、工事範囲に含めないことを前提とするため、大幅な間取りの変更ができない場合があります。

 

劣化がひどい場合は費用が高くつくことがある
築年数の古い家では、建物の土台、柱や梁といった構造が劣化していることがあります。浴室リフォームの場合、老朽化したタイルや壁の隙間から水が浸入し、内部の柱などが腐食していた、ということも多いようです。
リフォーム工事を開始したあとに、こうした構造部分の修繕の必要が出てくると、費用が当初の想定、予定工事価格、契約金額よりも高くついてしまうことがあります。

 

住宅性能が希望どおりのレベルにならないことがある
リフォームでも、耐震工事や断熱工事を行うことは可能ですが、既存の建物をできるだけ残しながら局所的に追加して行う工事であるため、抜本的・根本的な性能向上・問題解決ができないケースもあります。

 

写真:

リノベーションのメリット・デメリット

リノベーションは、古くなった家を蘇らせ、家の性能を向上させたり、価値を高めたりすることができる工事ですが、メリットとデメリットがあります。

リノベーションのメリット

リノベーションのメリットは次のとおりです。

 

ライフスタイルや要望に合わせて、思い通りの満足度の高い家をつくることができる
思い切って全面的に改修を行う「リノベーション」であれば、間取りの変更、床材、壁材を自分の好みに合わせて全面的に張り替えるなど、自分のライフスタイル・趣味等に合った、満足度の高い住空間をつくることができます。

 

住宅性能のレベルを上げることができる
耐震性能や耐久性、断熱性など、住宅の性能を住宅全体として上げることができ、他の新築住宅よりも高いレベルにまで引き上げることも可能です。

 

資産価値を上げることができる
リノベーションによって、住宅性能や居住性を向上させることで、物件の資産価値を上げることができます。

 

家を購入する場合、新築住宅と比べて、費用を安く抑えることができる
手頃な価格の中古物件を購入してリノベーションすれば、新築に比べて費用が安く抑えられるだけでなく、人気のあるエリアでも手頃な価格で「理想の家」を手に入れることが工夫次第では可能です。

 

リノベーションのデメリット

リノベーションは大規模な工事であるため、以下のようなデメリットがあります。

 

工事期間が長くなる
リノベーションは大規模な工事であるため、着工から引き渡しまでの工事期間が長くなってしまいます。
大手ハウスメーカーの新築注文住宅の工事期間がおよそ3〜4ヶ月であるのに対して、それと同様か、あるいは、現在の内装の撤去工事なども伴いますので、新築住宅以上かかることもあります。

 

仮住まいの家を用意しなければならない
リノベーションは、基本的に住宅全体の抜本的な改修工事となるため、工事着工前に一時的に住むための家に引っ越さなければなりません。

 

建物検査などを受けなければならないことがある
大規模なリノベーションの際には建築基準法に基づく「建築確認」の許可を申請することが必要なケースもあります。
「建築確認」とは、設計図書を基に、建築基準法やその他、自治体が制定する条例などの法律に違反していないか特定行政庁や確認検査機関が工事着工前に確認するものです。

 

マンションの場合、管理組合の規約などによって工事内容に制限を受けることがある
マンションの場合は、水回り配管などの位置を変更できず、浴室・トイレの位置は変更が不可となり、結果的に間取りの変更が思い通りにはいかない場合もあります。また、改修してよい部分がマンション管理規約などで規定されていることもあるので、工事内容が制限されることがあります。

 

リノベーション工事のみでローンなどを利用する際に、自己資金が必要になることがある
リノベーションは大規模な工事であるため、費用もかなり高くなりがちです。ローンを利用する場合、既存住宅であるために担保評価が低く、結果的に借入額が低く抑えられてしまう可能性もあります。結果的に、それを超える費用については、自己資金を準備しておく必要があります。

 

タイプ別に見るリフォームとリノベーションの「どちらが自分に合っている?」

リフォームとリノベーションの違いやそれぞれのメリット・デメリットから、「どちらが自分に合っているのか」をタイプ別にみていきます。

壁紙や床の汚れが目立つようになってきたので補修したい

壁紙や床材の張り替えだけなら、リフォームです。壁紙や床材の張り替えなら、2〜3日程度の工事です。

お風呂やトイレなど水回り設備が古くなってきた

老朽化した浴室や便器などの設備の交換をメインとしたものならリフォームで対応できます。
写真:

キッチンをもっと使いやすいものにしたい

キッチンの設備交換をメインとしたものならリフォームです。壁付タイプのキッチンを対面式にすることも可能です。
築年数の古い家では、キッチンがダイニングやリビングから独立したスペースになっていることもあります。これを広々としたリビング・ダイニング・キッチンにしたい!という場合には、リフォームでは望み通りの間取りに変更できない可能性はあります。
現状を大きく変えて「理想通りのキッチンにしたい」というのなら、キッチンスペースと、それに接続しているダイニングやリビングも含め、思い切って「リノベーション」で検討してみても良いかも知れません。

子どもが成長して、専用の部屋を設けたい

現状のスペースに間仕切り壁などを設けて、専用の子ども部屋を設けたい、というならリフォームです。
ただし、柱や壁などの撤去が必要な、大きな間取り変更の場合は、リフォームでは対応できないこともあります。

子どもが独立したので、空き部屋を趣味のスペースとして活用したい

複数の子ども部屋の壁を撤去して単純に広いスペースにする、というのなら、リフォームでも対応が可能です。
たとえば、子ども部屋のスペースを夫婦の居住スペースとして活用し、現状のキッチンやリビングダイニングを、アイランドキッチンを採用しつつ大きなワンルーム空間に……というなら、大規模な工事となることがあります。
こうした場合は、リノベーションを前提として計画していきましょう。

高齢になり、ちょっとした段差が気になる

段差解消や手すりの取り付けなどの「バリアフリー改修工事」は、リフォームで対応可能です。
「バリアフリー改修工事」には、このほか、トイレや浴室の改良、階段の勾配緩和、ドアの改良などがあり、こうした工事もリフォームで行えます。

バリアフリー対応の住まいに変えたい

廊下の幅を広くする、浴槽やトイレ、洗面などを車椅子でも使えるものにする場合、建物の構造によっては、かなり大がかりな工事になることがあります。
また、バリアフリー住宅では、室内の温度差のない「温度のバリアフリー」も、毎日を健康で快適に過ごすためには大切なポイントになります。
そのため、「バリアフリー対応の住まいに全面的に変えたい」と考えるなら、廊下幅を広げる、床の段差の解消、外壁・床等の断熱改修なども必要ですから、リノベーションの方がおすすめです。

今の住まいを改修して心地よく暮らしたい

現状の間取りを大きく変更せず、壁や床などの張り替えや設備などの交換ならリフォームで対応可能です。
今の間取りを大きく変更し、新築と同程度の家にしたいなら、リノベーションを検討すべきです。
写真:

中古住宅を購入して自分らしく暮らしたい

中古住宅を購入して、自分の理想の暮らしを手に入れたいなら、リノベーションがおすすめ。
間取りが自由に変更でき、注文住宅同様の家がつくれます。
なお、中古住宅を購入し、同時に改修工事する際には、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供する住宅ローンの「フラット35リノベ」を活用できます。「フラット35リノベ」とは、中古住宅購入と合わせて一定要件を満たす改修工事をした際に利用できる住宅ローンで、一般的な「フラット35」の借入金利を一定期間下げる制度です。

リフォームかリノベーションに迷ったら

リフォームとリノベーションの違いはわかったけど、どちらを選べばいいのかわからないと迷ってしまった際の「リフォームかリノベーションを選ぶポイント」を説明します。

リフォームかリノベーションを選ぶポイント

リフォームもリノベーションも「今の暮らしをさらに便利に、快適に、心地よいものにする」という点に違いはありません。
以下でより具体的にリフォームかリノベーションを選ぶポイントを案内しているので参考にしてみてください。

このような人はリフォームがおすすめ

慣れ親しんだ間取りを変えることなく長く住み続けたい人はリフォームがおすすめです。

  • 間取りを大きく変えることなく、今の暮らしに合わせて、快適な家にしたい
  • 一時的に仮住まいに引っ越しする必要なく、住みながら改修をしたい
  • できるだけ短期間に工事を終わらせたい
  • 古くなって、故障や破損した設備を最新のものにしたい

このような人はリノベーションがおすすめ

ライフスタイルに合わせて、既存住宅を新築住宅のように蘇らせたいなら、リノベーションがおすすめです。

  • 今住んでいる家を家族構成に合わせて、間取りを自由に、大胆に変更したい
  • 自分の家の資産価値をあげたい
  • 家を購入する際に価格を抑えた中古住宅を検討している
  • 新築と同じ、またはそれ以上のスペックの家にしたい

まとめ

リフォームもリノベーションも「ライフスタイルに合わせて、今の暮らしをさらに便利に、快適に、心地よいものにする」という目的は同じです。
リフォーム、またはリノベーションを検討するなら、まずは、その住まいに、誰が、いつまで、どのように過ごしたいのか、自分のライフスタイルを見つめ直すことが大切です。ご家族がいる場合は、家庭内でしっかり相談し、それぞれの希望やライフスタイルに適った住まいづくりを考えていきましょう。

よかったらシェアしてね