空き家を「さっさと」売却したい・・・けど?
掲載日:2023年9月1日
親からの相続で、自らは住むことはないであろう住宅を相続した(相続してしまった・・・)。こういうパターンで空き家が増えてしまっていることが多いようです。
では、相続した住まいを、空き家として放置せず有効に活用するためには、どのような選択肢があるでしょうか?本稿では、リフォーム評価ナビを運営している一般財団法人住まいづくりナビセンター専務理事の河田崇が「空き家の活用」の一つの選択肢として「売却」の進め方についてご紹介します。
住宅を相続して・・・次、どうする?
親が亡くなり、親が所有していた住まいや土地の相続が発生した場合、さて、次にどうするか?
・さっさと売却する
・そこに転居する
・そこに転居する
・賃貸にする
・解体する
あなた自身が単独で決めることができたとしても、どれがベストの選択なのか、大いに悩んでしまいそうですよね。
「さっさと売却する」
その住宅あるいは土地に市場価値があって、満足できる金額で「さっさと」売却できれば、「幸か不幸か」の「幸」ですね。欲張れば、売却まで時間はかかるでしょうが、市場価格に対応する価格であれば、すんなり売却できるかも知れません。
でも、その住宅に愛着があったり、「先祖代々の・・・」とか「親父が苦労して建てた総檜(そうひのき)の家」とかになると、「売却しよう」という結論を導くには、いろんな葛藤が生ずるかもしれません。
でも、「さっさと」・・・とは、いかない
一方、相続した住まいが、老朽化していたり、市場で流通しにくい土地・エリアにあったりすると、「さっさと」売却することが難しくなります。そして、時間の経過とともに、さらに老朽化が進んでしまって、手の打ちようがなくなってしまうことも。
そういう状態にならないためにも、まずは、行政に相談することから始めましょう。相続で家を持ってしまった・・・一生に何回もあることではありません。「特に未練も愛着もないので、速やかに手放したい」と思っても、初めてであれば、何から手をつければ良いかわかりませんよね。
市町村に相談する
空き家対策を進めている市町村では、そういったニーズに対応できる相談窓口を設けています。
例えば、東京都下の市区町村の窓口については、「東京都空き家情報サイト」で一覧として掲載されています。 → こちら
まずは、住宅所在地の市町村に、そのような相談窓口がないか確認してみましょう。
専門家や専門業者に相談する
最近は、空き家を専門に売買している仲介事業者の方も増えているように感じています。そして、そういった事業者の方が「どんな物件であっても、必ずニッチな価値があって、それを求めている購入希望者がいる」とコメントしていたことをテレビで見たことがあります。「空き家」に特化した仲介事業者に相談してみることも一つのアイデアです。
なお、一般財団法人住まいづくりナビセンターでは、司法書士、税理士、宅建士等の専門家と一緒に「空き家」に関する相談を、全国どこからでもWEBで承っています。まずはお気軽にアクセスしてみてください。
解体して更地に 補助金も
もし、建物の老朽化が著しく、いずれは解体しなければいけない建物がある場合は、「古家付き土地」よりも、いっそのこと解体して更地(さらち)にした方が、買い手が見つかりやすいかも知れません。
住宅を解体する場合でも市区町村が補助金で支援してくれるところもあります。例えば兵庫県神戸市では「老朽空き家等解体補助制度」を実施していて、条件次第では100万円の補助金が出ます。→ 神戸市役所ホームページ
また、解体には当然ながら大きな費用が発生します。「手持ちのお金は、ひとまず使いたくない」という場合には、金融機関でローンを活用することも考えましょう。例えば、千葉銀行では「ちばぎん空き家対策支援ローン」を提供しています。→ 千葉銀行ホームページ
ローンを使えば、当然ながら利息負担が生じますので、更地にして首尾よく売却したら、その売却代金でローンを全額一括返済すれば良いでしょう。
税制優遇で「さっさと売却」することを後押し
相続物件を売却した場合、その売却代金には税金(所得税・個人住民税)がかかってしまいますが、空き家の流通促進のために「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)」が設けられています。シンプルに言うと、「相続した空き家または解体した更地を3年以内に売却すれば、売却代金3,000万円までは税金がかからない」という特例です。この特例は令和6年からさらに拡充されることとなっています。
制度の概要(現行制度・令和5年12月31日以前の譲渡) → こちら
令和5年度税制改正の概要(令和6年からの拡充内容) → こちら
とにかく早めの相談を
空き家を放置しない・・・そのための「売却」は現実的・代表的な手段です。とはいえ、これまで経験したことのないことですから、一人で悩まずに、まずは、所在地の市町村にどんな支援メニューがあるかを確認し、そのうえで必要に応じて、信頼できる専門家にアドバイスを求めることから始めましょう!
◆執筆者
一般財団法人住まいづくりナビセンター 専務理事
河田 崇
河田 崇
元 独立行政法人 住宅金融支援機構 部長
工務店向けの省エネ基準解説書や木造住宅工事仕様書の作成などに従事
マンション管理士 建築基準適合判定資格者 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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