知っておきたい「お風呂の寿命」、浴室リフォームの時期について解説
掲載日:2023年9月15日
ある程度築年数の経過した住宅に住んでいると「お風呂の寿命」は何年くらいなのだろうと気になっている方もいるのではないでしょうか。
今回は、 リフォーム評価ナビを運営している「一般財団法人住まいづくりナビセンター」専務理事の監修の下、「お風呂の寿命」やお風呂リフォームを検討すべき時期、タイミングを解説します。お風呂の寿命を延ばすためのポイントやお風呂リフォームのメリットも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
お風呂の寿命はどのくらいが目安?
お風呂の寿命は、15年程度が目安と言われています。住宅の「水回り」であるお風呂は、他の箇所よりも経年劣化のペースが速いです。
常に水分と湿気にさらされているお風呂は、外観に問題がなさそうに見えても内部が腐食している場合があります。
「15年程度」と言われる寿命はあくまで目安と考え、トラブルが発生する前に早めにお風呂リフォームを実施するのがおすすめです。壁や浴槽にひび割れが発生しているなど、見た目に寿命が確認できた時には傷みがかなり進行している可能性がある点にも留意しておきましょう。
お風呂リフォームを検討する「5つのタイミング」
では、お風呂リフォームの時期を判断するにあたり、どのようなポイントを押さえておけば良いのでしょうか?以下5つのタイミングを解説しますので、寿命のサインを見逃さないように注意してください。
・ コーキングが劣化してきた
・ カビが生えて取れなくなってきた
・ 壁・床・浴槽が劣化してきた
・ 排水溝から嫌な臭いがしてきた
・ 家族のライフスタイルが変化してきた
コーキングが劣化してきた
浴槽と壁のすき間や、壁と床のつなぎ目をつなぐ「コーキング」を施している部分が劣化していれば、お風呂リフォームを検討するタイミングです。コーキングしている部分にひび割れや剥がれが発生していると、その部分に水が浸入します。そのまま放置しておくと、水漏れや腐食が進んでしまいますので、特に木造住宅の場合は注意が必要です。ただし、築10年以内の住宅なら寿命ではない可能性も高く、コーキングの打ち替え補修で対応できるケースがあります。いずれにせよ、不具合を発見したら早めにリフォーム会社に相談しましょう。
カビが生えて取れなくなってきた
カビを市販のカビ取り剤で取り除けない状態になっていると、お風呂リフォームを検討するタイミングです。カビが取れないケースでは、ひび割れが発生して内部にまで入り込んでいる恐れがあります。掃除してもなかなか取れない、もしくはすぐにまた生えてしまうなら注意しなければなりません。
カビが根付いてしまうと除去するのが難しいうえ、住宅自体の劣化も早めてしまいまいます。また、カビを吸い込むと感染症やアレルギー、中毒症状などの被害を受けるリスクがあるなど、家族の健康を脅かしますので注意が必要です。特に、免疫力の弱くなってきたご高齢の方や赤ちゃんがいる家庭では、カビが取れなくなってきたら早めにお風呂リフォームを検討するのがおすすめです。
壁・床・浴槽が劣化してきた
浴室の壁や床、浴槽が劣化してきたら、お風呂リフォームを検討する時期に入っている可能性があります。常に湿気にさらされている浴室は、壁や床が通常の部屋と比べて劣化しやすく、不具合が発生しやすい場所です。日頃から目視で点検し、ひび割れや浴槽と壁の間にすき間ができていないかをチェックしておきましょう。
わずかなひびやすき間であっても、その部分から水が浸入すると腐食や水漏れが発生します。なかでも、在来工法のタイル風呂はタイル目地を埋めるコーキングが劣化してヒビや剥がれが発生しやすく、不具合を見つけたら早めにリフォーム会社に相談すると良いでしょう。
排水溝から嫌な臭いがしてきた
排水溝から嫌な臭いが上がってくるのは、お風呂リフォームを検討すべきサインです。特に、排水トラップに長年の汚れが付着して機能不全に陥っていると、臭気を遮断する水を溜められず悪臭を防げなくなります。排水溝の内部は一般的な方法で掃除しにくく、お手入れの難しい部分です。そして排水トラップだけでなく、さらに奥深い部分に何らかの不具合が潜んでいる可能性もあります。日々の掃除で臭いを防げなくなってきた場合は、お風呂リフォームを検討するのがおすすめです。
家族のライフスタイルが変化してきた
家族のライフスタイルが変わってきたら、お風呂リフォームを検討すべき時期だと言えるでしょう。例えば、ご高齢の方の介護が必要になれば、住宅をバリアフリー化しないと快適な生活を送れなくなります。古い浴室だと真冬は寒く、暖かい部屋から浴室へ移動する際に血圧が急上昇するヒートショックが起きかねません。また、またぎ高さのある浴槽で出入りしづらかったり、床の段差でつまずいたりして怪我する危険も高まります。
ヒートショック対策は断熱性に優れたユニットバスへのリフォームや、浴室暖房設備の設置で対応可能です。さらに、滑りにくい床への交換や転倒を防ぐ手すりの取り付けなどにより、ご高齢の方でも安心してお風呂タイムを過ごしやすくなるでしょう。
お風呂の寿命を延ばすための「4つのポイント」
お風呂はいずれ寿命がくるにせよ、なるべく長く使いたいと考えている方も多いのではないでしょうか?
お風呂リフォームは大がかりな工事になる場合もあり、少しでも交換を先延ばししたいなら日々の点検やメンテナンスが欠かせません。お風呂の寿命を延ばすのに必要な以下4つのポイントを押さえておきましょう。
・ 毎日お風呂を掃除しよう
・ 湿気を抑えてカビの発生を防ごう
・ コーキングをケアしよう
・ 換気扇の状態もチェックしよう
毎日お風呂を掃除しよう
お風呂の寿命を延ばすには、日々のお手入れが欠かせません。入浴後は壁や浴槽、ドアに石鹸が残らないようにしっかり洗い流しておきましょう。また、排水口に髪の毛などのゴミが溜まったまま放置しておくと、雑菌が繁殖する原因になります。嫌な臭いが発生するほか、ひび割れにもつながる恐れがあり注意が必要です。
シャワーヘッドや追い焚きの配管の掃除なども、こまめにお手入れすればお風呂の寿命を延ばす効果が期待できます。併せて、水気を拭き取っておくのも大切です。水滴を残したままにしておくと水垢ができたり、汚れがこびりついてしまったりします。
湿気を抑えてカビの発生を防ごう
お風呂は湿気がこもりやすく、カビが発生しやすい環境です。カビの大量発生によってお風呂の寿命が短くなる恐れがありますので、十分注意しなければなりません。特に、お風呂にお湯を溜めっぱなしにする場合は、必ずフタをしておきましょう。窓がある浴室であれば窓を開け、そうでなければ換気扇を一定時間回し、湿気を含んだ空気がこもらないようにするのも効果的です。
フタをしないと浴室全体に湯気がこもり、湿度が上がってカビが発生しやすい環境になってしまいます。お風呂を沸かす際はもちろん、お風呂を使用しないときはフタをして、最後に入った人は毎回忘れずに浴槽のお湯を抜く習慣をつけておくと良いでしょう。
また、浴室の天井にカビが発生しないように注意するのも重要なポイントです。天井にカビが発生してしまうと、浴室全体にカビ菌が降り注いであちらこちらにカビが発生してしまいます。入浴して上がる際には、天井に水滴が付いていないかをチェックしておきましょう。
コーキングをケアしよう
お風呂の寿命を延ばすには、浴室の壁や浴槽とのつなぎ目に施しているパテ「コーキング」のケアも重要です。コーキングが傷んでしまうと内部に水が入り込んで劣化し、カビが発生します。コーキングしている部分の状態を日頃からチェックして、こまめに掃除するように心掛けましょう。
傷や劣化が目立ってきたら、早めにコーキングを打ち直すのも有効です。ただし、ホームセンターで道具が販売されてはいるものの、自分で行うのはちょっと勇気が必要です。作業に失敗するとより状態をさらに悪化しかねません。トラブルを未然に防ぐためにも、無理はせず、リフォームを専門としているプロの業者に依頼するのがおすすめです。
換気扇の状態もチェックしよう
浴室に湿気がこもらないようにするには、換気扇の使用が欠かせません。換気扇が経年変化で古くなっていると本来の機能を発揮できない場合があります。電化製品もお風呂と同じく寿命があり、換気扇の効き具合が悪いと感じたら早めに交換するのがおすすめです。線香の煙などをかざして、きちんと「空気が吸われているか?」、たまには確認してみましょう。
お風呂リフォームで効果が期待できるメリット
お風呂リフォームは快適なバスタイムを実現するほかに、以下のような効果を期待できるメリットもあります。
光熱費を節約できる
お風呂リフォームをおこなうと、光熱費を節約する効果が期待できます。特に、古く断熱性の低いお風呂の場合、保温機能に優れた高断熱浴槽に交換するとお湯が冷めにくくなり、追い焚きやお湯足しの時間や回数を減らせます。また、高い省エネ効果を発揮する節水型のシャワーヘッドなども発売されていますので、積極的に取り入れましょう。
介護しやすくなる
古いお風呂からバリアフリーのお風呂に交換すると、ご高齢の方が入浴しやすいのと併せて介護もしやすくなります。段差の低い出入り口や滑りにくい床、手すりなどによって安全に入浴できるようになると、介護側の負担も軽減することができます。
お手入れが楽になる
最近のお風呂は汚れが付きにくく拭き取りやすい素材を採用しており、お風呂リフォームによって日々のお手入れが楽になります。ユニットバスではなくても、在来工法のお風呂でも防水加工を施しているタイプがありますのでチェックしておきましょう。
経年劣化したお風呂を使用し続けるリスク
経年劣化したお風呂を使用し続けると、さまざまな不具合が出てくる恐れがあります。なかでも、在来浴室(タイル風呂)の場合は十分に注意しなければなりません。浴槽の劣化と併せてタイルの剥がれ・カビ・ひび割れなどによって水が壁の下地にまで浸透し、木造住宅の柱などの構造部分まで腐食してしまうと住宅全体に影響を及ぼす可能性も出てきます。
トラブルがあっても使い続けていると、いざお風呂リフォームを実施する際に工事範囲や費用が大きくなってしまいがちです。大規模な工事になって工期が長くなったり、コストが必要以上に増えたりすることを避けるために、お風呂は日頃からこまめに点検・メンテナンスをおこない、寿命のサインがあったらリフォームを検討するのがおすすめです。
まとめ
お風呂は1日の疲れを癒やしてくれる大切な場所です。お風呂の寿命は15年が目安ですが、環境や状態によって傷み具合が異なります。気になる点があれば、早めにリフォーム会社に相談してみましょう。
↑全国の登録事業者が表示されますので、お住まいのエリアに絞って検索ください。
◆記事監修
一般財団法人住まいづくりナビセンター 専務理事
河田 崇
河田 崇
元 独立行政法人 住宅金融支援機構 部長
工務店向けの省エネ基準解説書や木造住宅工事仕様書の作成などに従事
マンション管理士 建築基準適合判定資格者 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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