「健康住宅」ってどんな家?
健康住宅とは、文字通り健康的に暮らせる住宅のことです。以前、新建材に含まれるホルムアルデヒドなどの有機溶剤などの化学物質に反応し、体調を崩すシックハウス症候群が問題になりました。また、結露が生じてカビが発生すると、アレルギー性鼻炎や気管支喘息などの病気になる可能性も。木材などの自然素材を積極的に使用するほか、断熱性にも気をつけてリフォームするようにすると良いでしょう。
有害物質を含まない建材を使おう
住まいの室内の空気に最も関係してくるのが、化学物質です。一時叫ばれていたのが、シックハウス症候群による体の不調。接着剤や塗料などに含まれる有害な化学物質が原因といわれています。目が痛い、チカチカする、鼻水が出る、咳やくしゃみが出る、頭がボッーとするなど、その症状はさまざま。最近は、建具や建材のメーカーの対策が進み、かなり良くなってきましたが、採用する場合は、等級などを確認することをおすすめします。
2002年、厚労省は、空気中に揮発して健康被害をもたらす13種類のVOC(Volatile Organic Compounds=揮発性有機化合物)に対して、室内濃度指針値を策定しました。この中でも、合板や壁紙、床材などの接着剤によく使われるホルムアルデヒドは、100μg/㎡hとされています。この値は、気温28℃のときに建材1㎡から1時間に発散される量。数字が少ないほど害が少なくなります。建材は等級区分されているので、確認しましょう。
このほか、内装材や家具などの接着剤、塗料の溶剤に使われているトルエンの室内濃度指針値は260μg/㎡h。内装材や家具などの接着剤、塗料、ワックスの溶剤に使われているキシレンは870μg/㎡h。この数値は、人がその濃度の空気を生涯にわたって摂取しても、健康に有害な影響を与えないであろうという値です。
健康にとって恐ろしいのが結露
結露は人間の健康にとって大敵。冬の寒い日、暖房を入れると窓ガラスが曇っていて水滴がついていた。そんな経験がある人は多いはず。これは、室内の暖かい空気と外の冷たい空気が窓ガラスを隔ててぶつかっているために、室内の空気が冷やされて空気中に含まれていた水分が水滴となってあらわれたものです。暖かい部屋に冷たい水が入ったコップを置くと、コップの外側に水滴がつくのも同じ原理。コップのまわりの空気が冷やされて水滴になるのです。木材、繊維、ホコリなどに結露の水分が加わるとカビが生えることに。そして、カビが大好物なダニが発生。ダニやダニの死骸、糞などは、アレルギーや喘息、皮膚炎などの原因になるので注意が必要です。
窓ガラスにつく結露は目に見えるものですが、目に触れない結露もあります。壁内結露といわれるもので、内壁と外壁の間や天井裏、床下などで発生。結露による水分で木材腐朽菌が繁殖し、木でできた家の構造材などが腐ってくるのです。目に見えない場所で起こっていることだけに発見が遅れやすく、目に見える結露よりたちが悪いといえるかもしれません。
結露を防ぐには、家の断熱性を上げることが重要。窓の場合はガラスを二重ガラスにするか、内窓をつけましょう。壁内結露をなくすには、リフォームで外断熱を採用するのも1つの方法。家を断熱材ですっぽりと包んでしまう外断熱は、室内外の温度差が少なくなるので、壁内結露が起こりにくくなります。
家の断熱性を上げることは、ヒートショックの防止にも役立ちます。ヒートショックとは、急激な温度変化が体にもたらす悪影響のこと。血圧の大きな変動が心筋梗塞や脳梗塞の原因になることもあるので注意が必要です。例えば、冬場にあたたかいリビングから寒い脱衣所に移動して裸になり、浴室で熱いお湯につかるようなケースは要注意。これを防ぐには、家の中の気温差をなるべく小さくすることが肝心です。「健康長寿住宅エビデンス取得委員会」の調査※によれば、断熱性を高めるリフォームを行った家に住む人の血圧が、1年後には最高血圧・最低血圧ともに下がったという結果が出ています。健康で安心な生活のためにも、家の高断熱化は重要なのです。
※断熱改修による健康指標の改善効果を実証することを目的に、2011年~2014年に行った実証実験。事務局は一般財団法人ベターリビング。
自然素材を使った家づくり
健康的な住まいを造るアイデアとして挙げられるのが、木材をふんだんに使用すること。それも壁紙などで隠すのではなく、表面に見える状態で使うことが重要です。いちばんのメリットは、木材が持つ調湿性。室内の空気に湿気が多いときには余分な湿気を吸収し、乾燥しているときには放出して湿度を一定に保ってくれます。また、健康のために森林浴を行う人もいますが、木にはフィトンチッドという殺菌力のある精油成分が含まれており、ダニやカビにも効果があります。また、体育館の床は木でできているのは、転んでもあまり痛くないから。木は硬すぎずやわらかすぎず、適度なクッション性で衝撃から守ってくれます。だから木の床は歩きやすいのです。
漆喰や珪藻土も、木材と同様に吸放湿性を持っており、どちらも健康建材として使われています。漆喰は、消石灰に海藻でできたのりや麻の繊維などを細かく切ったスサを混ぜて作ります。吸放湿性があるばかりでなく、空気中の有毒ガスも吸収・分解するといわれています。海や湖沼などに生息する微小な藻類、珪藻の殻が化石化したものが珪藻土。吸放湿性だけではなく、消臭効果もあります。
また、塗料では柿渋が天然塗料として古くから使われています。柿渋は、まだ赤くなっていない青い柿をつぶした汁を発酵させたもの。防腐作用のある柿タンニンを多く含んでおり、色は赤褐色。防水、防腐、防カビ、防虫の効果があります。天然剤ならではの安全性が再認識され、建築にも使われるようになりました。
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