エコリフォーム、省エネリフォームのポイントは窓
壁は何重構造にもなった分厚いものです。外装材、構造用合板、断熱材、石膏ボード、内装材などというように重ねられ、高性能の断熱材も入っています。それに比べれば、窓は1枚か2枚のガラス。どんなに高性能のガラスでも、壁の断熱性能にはかないません。
しかし、日本ではその窓の断熱性アップが遅れています。言い換えれば、窓の断熱性向上が住まいの断熱性向上のキーポイントです。
壁に比べれば窓は外部の熱を伝えやすい
住まいの断熱性を高めるためには、熱の伝わりにくい材料を組み合わせて、建物をすっぽりと覆ってしまうことです。
特に木は断熱性の高い材料なので、熱い木の壁にさらにグラスウールやロックウールなどと呼ばれる空気層をたくさん含んだ断熱材を組み合わせれば外気温の影響を抑えて、冷暖房機器を効率よく運転することができます。
ところが、住まいには開口部が必要です。光を採り入れたり、外の空気を入れて換気したり、外を眺めたりするための窓も欠かせません。それも、できれば大きいほうがよいのですが、ガラスは厚くするといっても限界があり、木に比べれば熱も伝えやすいので、大きな窓は断熱の弱点になってしまいます。寒冷地の住まいができるだけ窓を小さくしているのも、窓が弱点であることを知っているからです。
しかし、窓を大きくして明るく開放的な暮らしがしたいということから、ドイツや北欧などの国々では、サッシの改良が進み、非常に断熱性の高いものも登場しています。
サッシの改良がなかなか進まない日本
ドイツなどでのサッシの高断熱化は、フレームとガラスの両面で進んでいます。
まずフレームについては、木や樹脂の採用が進んでいます。木や樹脂はもともと熱を通しにくい素材です。気密性や寸法精度、耐候性が向上、サッシ枠のスタンダートとなっています。
日本では現在でもアルミが主流ですが、アルミは木に比べると約2,000倍も熱を通しやすい材料です。現在では外部はアルミでも室内側に樹脂を使うものが多くなってきました。しかし、樹脂サッシや木製サッシの普及はなかなか進みません。
また、ガラスについては、ガラスを二枚使った複層ガラスタイプが欧米の寒冷地では常識であり、3枚使うトリプルガラスもよく見られます。この他、ガラスとガラスの間を真空にしたタイプもあり、こうすることでさらに断熱性の向上が図られています。
しかし日本では複層ガラスの普及は進んでいるものの、より断熱性の高いガラスの普及は遅れています。
北海道や東北地方の一部を除けば、日本はドイツや北欧諸国ほど厳しい寒さを知らないということが、サッシの断熱性向上を遅らせる原因の1つとなっているようです。
しかし、寒さ対策だけでなく、冷暖房の効率や省エネを考えても、窓の断熱強化は日本の住まいの大きなテーマといえるのではないでしょうか。
内窓の取り付けは窓の断熱性向上に効果的
窓の断熱性向上の一つの方法として「内窓」の取り付けがあります。
これは既存のサッシの室内側に、開口部の枠をそのまま利用しながらさらに窓を付けるものです。壁を壊したり、新たに枠を作ることがないので工事は簡単で、1つの窓に対して1時間程度あれば取り付けが完了します。
断熱性が大幅に向上、冷暖房効率が大幅にアップします。また、とくにマンションでは、気密性が高いこともあり、室内の水蒸気がなかなか外に逃げす、サッシのアルミ部分への激しい結露に悩まされる場合が多いのですが、内窓はこの結露防止に大きな効果を発揮します。
さらに二重になることで防音効果が高まるとともに、防犯性が向上するといった利点もあります。
また、マンションにお住まいの方でも、内窓ならば専有部分(住戸内)の工事になるので、管理組合の承諾なしで設置できることが多いです。
ただし、留意点もあります。言うまでもありませんが、二重の窓になるので多少開閉が面倒になります。また室内側に窓が付くので、既存の窓の状況によっては窓枠が室内側に出っ張る場合もあります。その点は施工例などを見たり、メーカーのショールームなどで実際に開け閉めをしてみたりして、事前に確かめておくことをお勧めします。
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