地域貢献してエコ住宅を!地域型住宅グリーン化事業ってなに?わかりやすく解説!
近年、エコ住宅が大きく注目されています。
エコ住宅の最大のメリットは光熱費を削減できることです。断熱性や気密性が高く、外気の温度の影響を受けにくいエコ住宅では冷暖房の使用量を減らせるからです。そして、冷暖房使用の減少は、近頃、頻繁に話題に取り上げられる二酸化炭素排出量の削減にも繋がります。
日本政府は環境に対して配慮している優良木造住宅や省エネ住宅の普及にも力を入れていますので、地域型住宅グリーン化事業にあてはまる住宅のリフォームや整備も補助金対象になる場合があります。
住宅のリフォームをお考えの際に補助金制度を利用して、快適な住まいづくりを計画される方も多いでしょう。そこで本記事では、地域型住宅グリーン化事業について詳しくご紹介いたします。
ぜひ、制度利用の参考にしてください。
※令和3年度の事業終了などについては、補助金利用を検討される前に必ずご確認ください。
地域型住宅グリーン化事業とは
国土交通省では、平成27年度から地域型住宅グリーン化事業を実施しています。
地域型住宅グリーン化事業は、地域の中小工務店・住宅生産者が建てる高性能住宅に対する補助事業で、国土交通省から採択を受けた木造住宅の関連事業者が連携体制(グループ)を成し、木造住宅の生産体制を強化し、省エネルギー性能や耐久性等に優れた木造住宅・木造建築物の整備及び木造住宅の省エネ改修を促進し、「環境に優しい住まいづくり」を進めていくことを支援しています。グループは、地域の中小工務店を中心に原木供給・製材・建材・設計・施工の住宅供給に関わる事業者で構成されていて、家づくりの考え方や性能、維持管理に関連する共通ルールを策定しています。
グループに所属する施工業者に省エネルギー性能や耐久性能を備えた新築住宅、リフォーム、整備を依頼することで、依頼者に予算の範囲内で補助金が交付されます。
補助対象住宅について
地域型住宅グリーン化事業は、省エネルギー性能や耐久性能等に優れた木造住宅を対象に補助金が交付される制度ですので、一定以上の性能を備えた住宅であることが求められます。
また、事業ごとの主要な適用条件は次のとおりです。
新築:長寿命型
長期優良住宅として認定されたもの
新築・改修:ゼロ・エネルギー住宅型
一次エネルギーである消費量が正味としておおよそ0となる住宅であり、ZEHで規定されている外皮強化基準値を下回るだけの性能を有するもの
新築:高度省エネ型 (認定低炭素住宅)
認定低炭素住宅として所管行政庁により認定されたもの
新築:高度省エネ型 (性能向上計画認定住宅)
性能向上計画として認定されたもの
改修:省エネ改修型
次の①②のすべてを満たすこと
非住宅:優良建築物型
①~③のいずれかの認定または評価などを受けること
事業の種類に応じて、これらの条件を満たさなければ補助金対象となりませんので、注意が必要です。
その他、施工開始日や施工者、床面積の条件があるものもありますので、必ず事業の要項をご確認ください。
補助金の限度額について
地域型住宅グリーン化事業において支給される補助金には上限があります。
各項目において支給される補助金の限度額については、次のとおりです。
事業の種類 | 事業者の補助金活用の実績 | 補助額の上限 | 補助額の算定方法 | |
---|---|---|---|---|
長寿命型(新築) | 長期優良住宅の活用実績の合計 | ~3戸 |
110万円/戸 (未経験枠の上限) |
①補助対象経費×1/10以内 ②補助額の上限 →①②の低い額 |
4戸~ |
100万円/戸 (制限なし枠の上限) |
|||
ゼロ・エネルギー住宅型(新築又は改修) | ゼロ・エネルギー住宅の活用実績の合計 | ~3戸 |
140万円/戸 (未経験枠の上限) |
①補助対象経費×1/10以内 ②補助額の上限 →①②の低い額 |
4戸~ |
125万円/戸 (制限なし枠の上限) |
|||
高度省エネ型(新築) | ― | 70万円/戸(上限) |
①補助対象経費×1/12以内 ②補助額の上限 →①②の低い額 |
|
省エネ改修型(改修) | ― | 50万円/戸(定額) | ― | |
優良建築物型(新築) | ― | 1万円/㎡(上限) |
補助対象経費×1/10以内 つ床面積×1万円/㎡を上限 |
補助金加算について
なお、所定の条件を満たすことによって上記補助金額に対してプラスされる加算対象があります。
補助金が加算される項目は、次のとおりです。
省エネ強化加算
対象となる事業の種類:長寿命型
評価機関において建築物省エネルギー性能表示制度で評価される値が★★★★★(BEIの値0.8 以下)であれば、1戸あたり30万円を上限として予算範囲内において補助金を加算することができます。
地域材加算
対象となる事業の種類:長寿命型、ゼロ・エネルギー住宅型、高度省エネ型
主要構造材(柱、梁、桁、土台)の過半に地域材を使用する場合、1戸あたり20万円を上限として予算範囲内において補助金を加算することができます。なお、過半とは柱、梁、桁、土台に使用している木材における材積合計値のうち50%以上であることです。
なお、三世代同居加算、若者・子育て世帯加算との併用はできません。
三世代同居加算
対象となる事業の種類:長寿命型、ゼロ・エネルギー住宅型、高度省エネ型
調理室、浴室、トイレ、玄関において、いずれか2つ以上を住宅内に複数箇所で設置している場合は、1戸あたり30万円を上限として予算範囲内において補助金を加算することができます。なお、ゼロ・エネルギー住宅の改修においては、新設でないと対象となりません。若者・子育て世帯加算、地域材加算との併用はできません。
若者・子育て世帯加算
対象となる事業の種類:長寿命型、ゼロ・エネルギー住宅型、高度省エネ型
補助金の支給対象とする住宅建築主が40歳未満であった場合、もしくは18歳未満の子供が支給対象とする住宅において同居していれば、1戸あたり30万円を上限として予算範囲内において補助金を加算することができます。なお、地域材加算、三世代同居加算との併用はできません。
なお、「若者」「子育て世帯」の考え方は次のとおりです。
若者
年度当初において40歳未満の人が該当します。建築主として請負契約上の依頼者が支給対象とする住宅において住んでいることが条件であり、仮に依頼者が何人かいる場合は、いずれかの方が若者であれば対象です。
子育て世帯
年度当初か交付申請日において、18歳未満の子供がいる世帯が該当します。建築主として請負契約上の依頼者と18歳未満の子どもが支給対象とする住宅において同居していることが条件です。
補助金申請が可能な事業者について
地域型住宅グリーン化事業においてのグループの概念は、地域に設立されている中小工務店を主として建材の流通、製材、プレカットなど住宅を建築するのに必要な事業者として位置付けられています。グループにおいて、住宅の建築に関する考え方、性能、維持管理等についての共通するルールを策定します。国土交通省は、グループを一般的に公募して地域型住宅グリーン化事業を活用することが可能かどうかを見極めて採択します。
このため、補助金支給の対象となるためには、住宅建築にあたりどこの事業者でも良いという訳ではなく国土交通省が採択したグループに該当する事業者に施工を依頼する必要があります。
お住まいの地域のグループの取組み内容や工務店を調べるには、「一般社団法人木を活かす建築推進協議会」のホームページをご確認ください。
補助金を受け取るまでのフローについて
地域型住宅グリーン化事業において、補助金を支給してもらうための手続きは個人で行う必要はありません。施工をしてくれた事業者が申請手続きを行うこととなっており、支給される補助金は工事依頼者が受け取るわけではなく、施工事業者が受け取る仕組みとなっています。
具体的なフローは次のとおりです。
手続きの概要
採択されたグループに所属する中小住宅生産者が、採択を受けた取組内容に従って建設する木造住宅・木造建築物の建設工事費についての補助金を受けるためには、事業に応じた各々のマニュアルに従い、補助対象となる木造住宅・木造建築物ごとに補助金交付申請を行うとともに、事業終了時に完了実績報告を行う必要があります。
1.交付申請
リフォーム、整備施工事業者が必要書類等を作成して、所属しているグループに対して提出します。グループ事務局は、グループ共通で定められているルールなどの適合状況を細かく精査し、交付申請窓口に対して補助金交付申請を行います。
2.交付決定
適切な審査を経たあと、交付されることが決定付けられた通知書が施工事業者に届けられます。
3.完了実績報告書
地域型住宅グリーン化事業の対象となる住宅が竣工したあと、施工事業者が完了実績報告書を作成して、所属しているグループに対して提出します。完了実績報告手続きを委任されたグループ事務局は、提出された報告書に不備がないかを精査し、交付申請窓口に対して申請を行います。
4.補助金受領
適切な審査を経たあと、補助金額の確定内容が施工事業者に対して行われ、支払い手続きに進みます。
まとめ
本記事では、地域型住宅グリーン化事業についてご案内いたしました。
地域型住宅グリーン化事業では、補助金を受け取るための手続きは施工事業者が行うため、工事依頼者は煩雑な事務手続きをする必要がありませんが、国土交通省に採択された施工事業者を選ばなければならないのが大きなポイントです。
また、他の補助金と併用できない場合もありますのでご注意ください。
ご自身のリフォーム計画にどんな補助金が利用できるのかをリフォーム事業者とよく相談して検討しましょう。
*全国の登録事業者が表示されますので、お住まいのエリアに絞って検索ください。
(2021年12月6日掲載)
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