補助金の利用には注意が必要
省エネやバリアフリー、耐震などのリフォームは、その工事に誘導するためのさまざまな優遇策が国や自治体によって実施されています。もっとも直接的なものが補助金の支給です。その他にも、必要な資金の低利融資やローンを組んだ場合の利子の補助、さらに固定資産税や都市計画税の減税といった施策が取られています。
しかし、こうした国や自治体の制度は、当然のことながら「公平を期する」、「違法建築は対象としない」といった原則があり、また、予算の枠があらかじめ決められていて、募集期間内でも予算枠に達したら終了することになります。
業者により申請手続きの慣れ、不慣れがある
一般に補助金支給などの施策は、適用に厳しい要件を設けています。
申請書を始めとする必要な提出書類が多く、見積書、工事図面、工事請負契約書、工事写真、納品書、領収書など、その数は非常に多くなります。
また、工事申請→許可→完了→報告→検査→補助金申請→審査→補助金支給など、多くのやりとりを自治体などの補助金申請の窓口とすることになります。
さらに、募集期間は一般に短く、着工スケジュールをにらみながら、募集期間内に申請を終わらせる必要があり、不慣れなリフォーム業者では手続きがスムーズに進みません。
もし利用したい補助金などの情報がある場合は、リフォーム業者と工事の請負契約を結ぶ前に、その補助金の利用が可能か、また利用した経験があるか、その工事に対して確実に補助金が支給されるか、といったことについて、リフォーム業者に事前に確認をしておくことが大切です。
補助金制度の利用には制限もある
補助金制度は利用希望者が多く、また制度運用の公平性を図ることから、自治体が求める書類などの手続きが多いことが一般的です。
また、当然のことですが、違法建築であれば対象にはなりません。「違法建築」といっても、意識的にそのようにしたのではなく、増築した際の軒の出がわずかに斜線制限に抵触しているなど、もともと隣地境界線があいまいで、隣家の工事の際に想定と違ったところで確定してしまい、結果的に今建っている建物が違法になってしまった、というケースもあります。
こうした場合は、その経緯に関わらず補助金の対象からは除外されてしまいます。リフォーム業者を通じて自治体の窓口と交渉し、法律上問題がないという確認を取ることは不可能ではありませんが、一般的にそれには長い日数の交渉が必要になります。
現場の工事を多数抱えているリフォーム業者に、その負担を求めることは簡単ではありません。
また、最近では、いわゆる「新耐震基準」以前に建築された耐震性の低い建物については補助の対象外とすることがほとんどで、その点もあらかじめ確認しておく必要があります。
工事に必要なのは業者との信頼関係
耐震改修工事などでは、30万円あるいは50万円、中には100万円を超える補助金を支給する自治体もあります。その金額を見れば、ぜひ補助を受けたいと誰もが思いますが、耐震改修工事の補助に限らず、申請から支給までは多くの手続きと日数がかかります。
それによって着工の日程が変わったり、申請期限に間に合わせるために大急ぎで打ち合わせをし、さらに申請書類を作成してもらうなど、リフォーム業者に過重な負担を掛けることも考えられます。
仮に30万円の補助金を受領できる可能性があるにしても、そのために工事着工が大幅に遅れたり、打ち合わせ内容が希薄になることが心配される場合は、思い切って補助金申請は諦めるという選択もあります。
リフォーム業者の負担も減り、スケジュールの自由度も高まります。何よりも、工事内容について、慌てずゆっくりと打ち合わせを重ねることができるでしょう。
リフォーム業者との信頼関係は、工事の結果に大きく影響します。補助金のことで頭がいっぱいになり、無理なスケジュールや手続きを要求することになれば、大切な信頼関係をつくることも難しくなります。
時と場合によっては、補助金を諦めるというのも満足のいくリフォームを実現するコツかもしれません。
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