エコジョーズとは?特徴や仕組み、他の給湯器との違いを解説
給湯器の交換を考える際にエコジョーズの名前を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
しかし、「普通の給湯器とエコジョーズの給湯器の違いがわかりづらい」「エコジョーズにどんなメリットがあるのか分からない」という方もいるでしょう。
そこでこの記事では、エコジョーズがどのような特徴を持つ給湯器なのか、他の給湯器とどのような違いがあるのかを解説し、具体的なメリットやデメリットを紹介します。
エコジョーズとは
エコジョーズとは、ガスの消費量を少なく抑えつつ効率よくお湯を沸かすことができる、省エネ性能に優れたガス給湯器のことです。正式名称は「潜熱回収型ガス給湯器」といいます。
従来のガス給湯器では活用できなかった排気熱を湯沸かしに利用できることが特徴で、従来の給湯器とは異なった仕組みになっています。
そのため、ガス料金を節約できるだけではなく、ガス消費量を抑えられることにより環境にも優しくできる給湯器として知られています。
現在では普及台数が1000万台を突破しており、私たちの暮らしを支えるための給湯器として、家庭をはじめとして広く普及しています。
エコジョーズの仕組み
エコジョーズはガスバーナーによって配管に通った水を温める1次熱交換器と2次熱交換器の2種類を使用してお湯を作っています。
給湯器の中の水の配管部分を広げることで、捨ててしまうエネルギーがなるべく発生しないように効率よく熱交換を行えるため、熱効率が向上するという特徴があります。
全体的に熱効率が向上しているため、従来の給湯器よりも少ないガスの量で、より多くのお湯を作ることが可能です。
一般的には従来のものと比較して10%以上ガスの消費量を抑えられる傾向があり、それと同じ分ガス代の節約に繋がるメリットもあるでしょう。
さらに、ガスの消費量を抑えることによりCO2の排出を削減できるため、エコジョーズは給湯器使用者と地球環境の両方にとって優しい仕組みになっている給湯器といえます。
エコジョーズと他の給湯器は何が違う?
エコジョーズと他の給湯器にはどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、「エコジョーズとエコキュートの違い」と「エコジョーズと従来型のガス給湯器の違い」に分けて解説していきます。
エコジョーズとエコキュートの違い
ここでは、エコジョーズとエコキュートの性能や特徴の違いについて解説していきます。
お湯を沸かす方法について
実は、エコジョーズとエコキュートでは、お湯を沸かす仕組み自体が全く異なるという特徴があります。
エコジョーズは従来ではお湯を作ることに役立てられなかった排気熱を利用し、ガスを使ってお湯を沸かす瞬間湯沸かし式の給湯器です。
一方、エコキュートは電気料金が安くなりやすい深夜電力を利用して、空気中のCO2を圧縮することでお湯を沸かし、貯湯タンク内に貯めておく給湯器です。
そのため、お湯を沸かす際に使用するエネルギーや、お湯を沸かすシステム自体が全く別物となっています。
設置スペースについて
エコキュートは貯湯タンクとヒートポンプユニットのふたつを庭などの屋外スペースに設置する必要があります。
そのため、敷地や通路が狭く設置できない場合はエコキュート自体が使用できないデメリットがあります。
一方、エコジョーズは貯湯タンクとヒートポンプユニットの設置は必要ありません。さらに、給湯器の設置自体は必要ですが、設置のためにエコキュートほど広いスペースを必要としません。
そのため、敷地内のスペースの問題からエコキュートが設置できない場合でも、エコジョーズなら設置できるケースがあります。
お湯切れについて
エコジョーズはお湯を使用するタイミングでお湯を沸かします。一方、エコキュートは電気代の安い深夜などのタイミングでお湯を沸かし、沸かせたお湯をタンク内に保存します。
そのためエコキュートは、タンクのお湯を使い切ってしまうと再度お湯を作り出すまでに時間がかかるため、シャワー中などにお湯切れを起こしてしまうことがあります。
一方、エコジョーズは必要な時に必要な量だけを沸かして使用するため、お湯切れを起こす心配がなく、いつでも瞬間湯沸かしで温かいお湯を使うことができます。
ただし、非常時に水道や電気が止まった場合、エコジョーズはお湯を使用することができなくなりますが、エコキュートは災害時でもタンクに保管したお湯を生活用水として使用できるという点も覚えておきましょう。
エコジョーズと従来型のガス給湯器の違い
エコジョーズと従来型のガス給湯器の一番の違いは、排気熱を湯沸かしに活用できるようになった省エネ性能の高さです。
従来型のガス給湯器の熱効率は80%でしたが、今までの湯沸かしでは活用することなく捨てるのみだった排気熱を利用することにより、エコジョーズの熱効率は90%以上まで向上しています。
エコジョーズの導入には初期費用が若干掛かりますが、数か月から数年規模の長期的な視点で見た場合、ランニングコストの面で他のガス給湯器とはガス料金の差が開いてくるでしょう。
そのため、これから給湯器を新しく設置するのであれば、エコジョーズの導入は十分検討に値するといえます。
エコジョーズはどのくらいガス代を節約できる?
エコジョーズを使用する環境や導入する機器によって具体的な数値は変動しますが、従来型のガス給湯器からエコジョーズに交換することで、ガス使用量を最大で約15%削減できるといわれています。
また、給湯器メーカーのリンナイが公開しているデータによると、従来のガス給湯器とエコジョーズのランニングコストは年間で18,100円程度の差があることがわかります。こちらのデータも参考にできるでしょう。
(参考:リンナイ株式会社 https://www.rinnai.co.jp/)
そのため、毎月のガス代を節約したいと考えている場合は、給湯器にエコジョーズを導入することが効果的といえます。
エコジョーズのデメリットと導入時の注意点
ここまで、エコジョーズの特徴と導入するメリットを紹介しました。しかし、エコジョーズにもデメリットと導入する前に知っておくべき注意点があります。
エコジョーズの主なデメリットと注意点は以下の2点です。
以下でそれぞれ詳しく解説します。
導入費用が高くなりやすい
エコジョーズは他の給湯器と比べて、導入時の初期費用が高くなってしまう特徴があります。
そのため、エコジョーズのメリットであるガス料金の節約やランニングコストの削減を体感するためには、ある程度長期間給湯器を使用し続ける必要があります。
たとえば、2021年8月現在、エコジョーズ給湯器であるリンナイのRUF-ME2406AWシリーズ(フルオートタイプ)の場合、本体価格とリモコンセットの合計で税込609,180円となります。
(参考:リンナイ株式会社 https://www.rinnai.co.jp/)
本体価格にプラスして、工事費が仮に5万円程度かかるとすると、合計で設置費用に66万円の設置費用がかかります。
ガス代の節約や環境負荷の低減ができるエコジョーズですが、初期費用が高く、導入のハードルがやや高めなことを覚えておきましょう。
ドレン排水用の工事が必要になる
エコジョーズは排気熱を再利用してお湯を沸かす仕組みになっていますが、その際に発生する窒素酸化物が酸性の水(ドレン水)となって排出されるようになっています。
エコジョーズ給湯器を設置する際はドレン水を処理するための排水設備の工事をセットで行わなければなりません。ドレン排水の設備が作れない場合はエコジョーズ給湯器を設置できないことに注意が必要です。
特に、マンションや集合住宅の場合だと、生活排水のパイプにエコジョーズのドレンを排出ための配管を新たに設置する必要があるため、大掛かりな工事になる可能性があります。
また、ドレン排水の具体的な処理方法は住宅や設置する環境ごとに細かく異なるため、業者とあらかじめ確認しておくことが必要になるでしょう。
エコジョーズを導入するときのポイント
エコジョーズのメリットやデメリットを含めたうえで、エコジョーズを導入する際にはどのようなポイントに気を配れば良いでしょうか。
ここでは、エコジョーズを導入するときのポイントを解説していきます。
節約したい費用は何かを考える
節約のために給湯器を導入する場合は、具体的にどの費用を節約したいのかを考えることが重要です。
給湯器の中でもエコジョーズはガス代の節約に役立つため、ガス代を節約したい場合はエコジョーズの導入が適していると言えるでしょう。
エコジョーズはお湯を沸かす際に使用するガス消費の効率を良くすることで、ガス料金を節約することができます。
しかし、エコキュートのようにお湯を沸かす際に電気は使用しないため、電気代を節約することはできません。
月々のガス代の節約を考えているのであればエコジョーズを導入することは効果的です。しかし、その他の光熱費を節約することが目的の場合は、エコジョーズを選ぶことのメリットは薄くなるでしょう。
複数の業者に見積りを依頼する
エコジョーズの給湯器は専門業者などから直接購入することができますが、住宅への設置にかかる費用は業者によって幅があります。
そのため、なるべく複数の業者に見積りを依頼することをおすすめします。
1社のみに見積りを依頼すると、その業者の提示している金額が本当に適正金額なのかを把握することが難しくなってしまいます。
まとめ
今回は、エコジョーズの仕組みや特徴、他の給湯器との違いやメリット・デメリットについて解説しました。
エコジョーズは環境にもお財布にも優しい給湯器として名が知られており、ガス代の節約を考えている場合におすすめの給湯器といえます。
また、エコジョーズの導入を検討しているのであれば、より最適な価格で取り付けてもらえるよう、複数の業者に見積りを依頼することをおすすめします。
節約したい費用が何なのかに注目して、よりご自身に合った給湯器を導入することで、光熱費やガス料金の支払いを安く抑えることができるでしょう。
*全国の登録事業者が表示されますので、お住まいのエリアに絞って検索ください。
(2021年11月11日掲載)
よかったらシェアしてね