健康的に暮らすために室内環境において大切な要素
健康な室内空間づくりに必要なのは、清浄な空気と快適な室温の維持、そして湿度のコントロールです。空気が大切なのはいうまでもありません。汚れた外気はもちろん、室内の空気にも家具や日用品などから発散したVOC(揮発性有機化合物)が溶け込んでおり、その中には人体に有害なものがあります。
空気は肺に入ってそこで血液に取りこまれるので、空気環境は体にとってとても重要です。その空気環境に大きな影響を持つのが室内の湿度です。
木造住宅の大敵は湿度
湿度が高いと何が問題なのか。
それはカビの発生を招くことです。
カビの発生には4つの条件があります。適度な温度、適度な湿度、栄養分、そして酸素です。カビにとっては食品だけでなく埃すら栄養になりますから、人が暮らす空間であれば必ず栄養分があります。酸素もあります。気温は5~45℃の範囲であれば繁殖するといわれ、これも人の生活空間であれば問題ありません。では湿度はどうか。湿度は比較的範囲が狭く、60%以上で繁殖しはじめ、90%を越えると猛烈な勢いで繁殖します。
つまり、人がカビの繁殖を抑えるためにできることは、唯一湿度のコントロールなのです。例えば、木を腐らせる腐朽菌もカビの一種で、同じ条件で繁殖します。特に腐朽菌は高温多湿を好み、気温30℃以上、湿度85%以上の環境を好みます。
木の腐朽はカビの胞子を空気中にまき散らして空気を汚すだけでなく、建物の構造体にも影響し、耐震性能を大きく低下させます。「調湿」は健康な暮らしと住まいの維持のために大切なポイントです。
調湿機能のある建材でつくる健康空間
室内の湿度を快適にコントロールするためには、結露を防ぐことが大切です。暖房で暖められた空気が、冷えた窓ガラスや冷たい風が吹きつける北向きの壁などのそばで、急激に冷やされ、含んでいた水蒸気を水分として放出するのが結露と呼ばれる現象です。この過剰な水分や高い湿度が木を腐らせる原因となります。
結露を抑えるためには、二重ガラスのサッシや断熱材を厚く入れた壁によって室内外の温度差を小さくすることが大切ですが、同時に、室内の湿度を下げておくことも重要です。その時役に立つのが、調湿機能を持った建材を室内に使うことです。
調湿作用のある建材の代表が木です。木は組織内に自由に出入りする水分をもっており、伐られて製材された状態でも、湿度が高ければ空気中の水分を吸収し、逆に湿度が低ければ水分を放出して湿度をコントロールします。(ただし、表面をウレタン塗装などで覆ってしまっている場合は、この機能はほとんど発揮されません)。
調湿機能を持つ建材は木だけではありません。漆喰壁や珪藻土の壁など、多孔質と呼ばれる自然素材を、できるだけその性質を壊さずに使ったものには、同様の機能があります。また低温で焼成したタイルにも同じ働きがあります。
外付けブラインドで放射熱をコントロール
湿度と並んで室内を健康な空間に保つためにぜひ考えたいのが、放射熱(輻射熱)のコントロールです。真夏に熱せられた屋根や壁は熱を持ち、室内に放射熱を出します。陽が落ちて夜になってもむっとした熱さを感じるのは、溜まった熱が放射されているからです。
そのため、日中だけでなく夜もエアコンを運転して室温を下げようとするのですが、エアコンを長時間運転するのは、体を必要以上に冷やし、また発汗による体温調節機能を狂わせる心配があります。自律神経の失調が起こりやすくなるのです。そこで建物をしっかり断熱し、熱を蓄えないようにすることが重要になります。
また、窓に外付けのブラインドを設けることも効果的です。窓ガラスが直射日光にさらされると熱を持ち、放射熱を発する元になるからです。この場合のポイントは「外付け」にすること。
内側では窓が熱せられるのを防ぐことができません。昔の日本の住まいによく見られた「よしず」を立てかけるのと原理は同じです。最近は、外付けブラインドの種類も増え、利用しやすくなっています。
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