それぞれが個性を活かした仕事ぶり
- 設計士としてそれぞれ個性があると思いますが、皆さんの好きなテイストやスタイルを教えてください。
- 風間さん:私は古民家の仕事が好きですね。100年、150年といった古民家になると、構造材がむき出しになっていて、昔の材料、組み方がそのまま残っている。それを見るのはとても興味深いですね。
- 三宮さん:私も風間さんと同じく古民家に興味があります。古民家のリフォームでは思いがけない発見がいろいろあります。天井裏から明治時代に大工さんが書いた棟札が出て来たり。
- 風間さん:昔の物を残しながら快適にするというのがやりがいであり難しさですね。昔の家というのは一番良い場所は客間であったり、仏間であったり、普段使いでない場合が多いのです。ですから、そこをリビングやダイニングキッチンにして快適に暮らせるようにする。一方で、床の間のような家の中心はそのまま残して保存するといったように、メリハリが必要になってきます。
- 三宮さん:現在とは建築の基準が違うので、そこをどうクリアするかも問題ですね。
- 風間さん:例えば昔の石倉の場合、耐震などは現在の基準には全く合致しません。そういった問題を、構造に手を加えるのではなく、用途変更によってクリアするなどの工夫も必要になってきます。
- 内田さんはいかがですか?
- 内田さん:私は、シンプルなデザインが好きですね。材は自然素材を用いて極力、装飾を排したスタイル。装飾の役割はインテリアが担えば良いと思うのです。建築はベースであるので主張しすぎないようにしています。
- ご自身のこだわりとお客様のご意見、両方をうまくまとめていくのは、難しそうですね。
- 内田さん:もちろん基本的にはお客様の意見を尊重しますがお家を見させていただいて、水回りが片付いていない方の場合、シンプルな提案は難しいですね。やはり収納を多く取らないといけなくなりますから。ただ、お客様と意見をぶつけあう中から、思ってもいなかったようなアイデアや解決策が出て来ることもあります。もっとも、お客様のセンスは、だいたい第一印象で分かります。お客様の持っている物を見るとその方の好きな物が伝わってきますから。
代表事例集
想い出を残したまま、暮らしを愉しむ家に
築50年の家は、広さはあるが、部屋が細かく仕切られていて効率よく使えていない状態。就学を機に子ども部屋の確保と、畑仕事から直行できるよう水回りを改装。
以前の梁や柱をあらわにしつつ、可変的で開放的なLDKを実現。温かみのある使いやすい空間へと生まれ変わった。2010年度住まいのリフォームコンクール(主催/公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター)優秀賞を受賞。
(施工費2,160万円)
土間の再生
築100年の古民家の再生。リフォームで新建材に覆われてしまった玄関を、以前の土間の玄関に戻したいとリフォームを決断。現代生活を組み込みながら、昔の雰囲気を取り戻した。2011年度住まいのリフォームコンクール(主催/公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター)優秀賞を受賞。
(施工費1,233万円)