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更新日:2024年11月15日

ベランダの掃き出し窓ってどんな窓?特徴やメリット・デメリットを解説

掲載日:2023年10月19日

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「ベランダに大きな窓を設置して開放感のある空間を作りたい」という方が検討されるリフォームの一つが「掃き出し窓の設置」です。掃き出し(はきだし)窓は、天井付近から床上まである大きな窓で、明るく開放感のあるベランダ空間づくりを実現します。ただし、メリットがある一方で注意点もありますので、ベランダの窓リフォームを計画する際は双方をふまえておくのが重要です。

そこで今回は、ベランダの掃き出し窓に焦点を当て、特徴やメリット・デメリットを解説します。注意点の対応策もご紹介していますので、ベランダの窓リフォームを検討している方はぜひ参考にしてみてください。
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ベランダの「掃き出し窓」とは

住宅の窓には多くの種類がありますが、掃き出し窓とはどのような窓なのでしょうか。名前の由来や種類、他の窓との違いなどを詳しく解説します。

掃き出し窓の由来

掃き出し窓とは、天井付近から床あたりまで高さのある引き戸タイプの大きな窓です。かつて、ほうきで掃除していた時代に、大きなゴミを窓から庭へ掃き出していたことが由来とされています。日本の住宅でもっとも主流の窓で、採光や風通し、出入りしやすさからの面からリビングやベランダに出る部屋に設置されるのが一般的です。
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掃き出し窓の種類

掃き出し窓には、開閉方式の違いによって「引き違い窓」や「片引き窓」、「引き分け窓」などがあります。引き違い窓は、2枚以上の窓を左右にスライドさせて開閉するタイプ。対して、片引き窓は2枚の窓の片方が固定され、どちらか片方の窓だけを開閉できる構造になっています。

引き分け窓は、両サイドが壁か、はめ殺しで開閉できないタイプです。中央の窓を左右にスライドさせて開閉します。

掃き出し窓の一般的なサイズ

掃き出し窓は日本の住宅で一般的な窓であり、各メーカーではさまざまなサイズを用意しています。一般的なサイズが、2枚建てで幅1.7~1.8m、高さ2.0~2.2mです。なかには、天井まで届く高さ2.5m以上の掃き出し窓もあり、床から天井まで大開口窓にしたい方の要望に対応しています。また、下枠をフラットにしてテラスとの段差を解消しているタイプもありますので、参考にしてみてください。

掃き出し窓の設置に適した場所と注意点

掃き出し窓の最大の特長は、最下部が床面に接しているため人の出入りがしやすいところですので、「リビング/ベランダ」、「リビング/庭」など、屋外に面している室内箇所に設置されることが多いでしょう。

設置場所の注意点として、当たり前かも知れませんが、掃き出し窓の前に「家具を置かないほうがいい」ということを知っておきましょう。

持っている家具と間取り、部屋の広さとの兼ね合いから、やむなく掃き出し窓の前に家具を置かざるをえないこともあるかも知れませんが、置くのを避けたほうがいい理由は、以下3点です。

理由1: 窓の前に家具を置くと、人の出入りが妨げられてしまい、掃き出し窓の最大の特長を活かせない。

理由2:掃き出し窓は大きな窓なので、近くに家具を置くと日焼けをしてしまう可能性が高い。

理由3:結露発生につながることがある

掃き出し窓と他の窓との違い

窓には、掃き出し窓以外にも多くの種類があります。おもな窓を表にまとめましたので、リフォームする際はそれぞれの特徴をふまえた上で検討してください。

 窓の種類                         特徴
天窓
てんまど
天井に設置する窓です。開閉できない固定式と開閉式があり、固定式は採光に、開閉式は採光と換気に役立ちます。
出窓
でまど
外壁の外に張り出した構造の窓です。壁面より外に張り出しており、部屋を広く見せる効果を発揮します。
高窓
たかまど
天井に近い、高めの位置に設置する窓です。周辺に建物が密着している地域や障害物が多い場所などで、採光しやすいメリットがあります。
コーナー窓      部屋の角部に設置する窓です。2カ所の方向から採光できるメリットがあります。
腰高窓
こしだかまど
大人が立ったときの腰くらいの位置に設置する窓です。床からおよそ80~100cmに取り付ける窓で、採光よりも換気を目的に設置します。「腰窓」(こしまど)とも呼ばれます。
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ベランダに掃き出し窓を設置するメリット

掃き出し窓について理解を深めたところで、メリットを確認しておきましょう。ベランダの掃き出し窓には、おもに以下3つのメリットがあります。

室内と屋外の出入りがしやすい
採光・風通しを確保しやすい
開放感が生まれる

では、それぞれ解説していきます。

① 室内と屋外の出入りがしやすい

ベランダに立ち上がりのない掃き出し窓を設置すれば、室内と屋外の出入りがしやすくなります。洗濯物を干す時や取り込み時はもちろん、ベランダを子どもの遊びなどに活用している場合に便利です。さらに、ウッドデッキやステップ、スロープを掃き出し窓と合わせて設置することで、子どもから高齢者まで、さまざまな年齢層の家族の出入りがより快適になります。
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外にも出やすいウッドデッキ|リフォーム専門店ダイクのリフォーム事例
https://www.refonavi.or.jp/shop/459/gallery/3792#tabAreaGallery

➁ 採光・風通しを確保しやすい

天井付近から床上まである大きな掃き出し窓は、採光や風通しの確保に役立ちます。床に接していて遮る物がなく、取り入れた自然光で部屋を明るく照らせるのがメリットです。1日のはじまりに、太陽の光をたっぷり浴びてから活動したい方にもぴったり。また、曇った日でもある程度の明るさで照明を付ける必要がなく、節電にも効果を発揮します。

掃き出し窓を設置すると風通しがよくなり、換気しやすいのもポイントです。自然の風をたっぷり取り込めば、気分をリフレッシュできるメリットもあります。

③ 開放感が生まれる

大きな窓により、外の景色を見渡せて開放感が生まれます。また、壁に囲われている部分が少なくなり、部屋が広く感じられるでしょう。ベランダとの段差をなくせば、部屋が続いているような一体感も得られます。ベランダを屋外の部屋として活用したい方にも、掃き出し窓の設置がおすすめです。

ベランダに掃き出し窓を設置するデメリット

ベランダに掃き出し窓を設置すると多くのメリットがある一方、以下のような気になる点もあります。

  • プライバシーや防犯面で不安がある
  • 外気の影響を受けやすい
  • 音が漏れやすい
  • カーテン代が高くなる

メリットとデメリットの双方を把握した上で、ご自宅にぴったりなリフォームを計画しましょう。

プライバシーや防犯面で不安がある

掃き出し窓は眺望がよくて開放感がある一方、外からも中の様子を見られやすいデメリットがあります。ベランダに掃き出し窓を設置した場合、向かいの家から中が丸見えになるかもしれません。1階のリビングに大きな窓を設置したが、通行人の視線が気になってプライバシーや防犯面で不安を感じるといった声も聞かれます。

外気の影響を受けやすい

掃き出し窓にすると、窓の大きさから外気の影響を受けやすいのがデメリットです。窓を大きくしたことで、「夏は日当たりが良すぎて暑くなりすぎた。」や、「冬は冷たい風を窓一面に受けて寒くなってしまった。」という経験談も聞かれます。室内温度を適温にするために冷暖房器具の使用時間が長くなり、結果として「電気代が高くなってしまった」なんてこともあるかもしれません。

音が漏れやすい

窓は壁よりも音を通しやすい特性があり、大きな掃き出し窓にすると防音性が低くなります。大きな音でテレビを観たり、音楽を聴いたりすると外に音が漏れやすいですし、車やバイク、電車などの乗り物の音をはじめ、外からの音も入り込みやすくなります。
自分たちの出す音にも、外から入る音にも気を配り、防音対策をしっかり施しましょう。
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カーテンの費用が高くなりがち

掃き出し窓は通常の窓よりも大きいので、カーテンも大きなものが必要です。同じ素材とデザインのカーテンなら「サイズ」で価格が決まりますので、費用がかかることを覚悟しましょう。カーテンは汚れや痛みによって数年に1回程度交換する必要があり、金銭的に負担を感じるかもしれません。
特に、デザイン性にこだわったり、オーダーカーテンを注文したりする場合、高額になってしまう傾向があります。

掃き出し窓のデメリットを解決する対応策

掃き出し窓にはデメリットがあるものの、解決する方法があります。以下で3つの対応策をご紹介しますので、ご自宅の事情に合わせて対策しましょう。

① 目隠し対策をする

外からの視線が気になるなら、外から見えにくいカーテンを設置しましょう。なかには、特殊な加工で外から見えにくい「ミラーレースカーテン」という商品が販売されています。また、夜に室内照明をつけても外から見えにくいカーテンもありますので、チェックしてみてください。

通常のカーテンでは心配な場合、ロールカーテンやブラインドを設置するのもおすすめです。また、窓の外側にシェードを設置する方法もあります。ブラインドやシェードが好みでないなら、お風呂場で一般的に採用されている「型(かた)ガラス」(型板(かたいた)ガラスと呼ぶこともある。)も検討してみましょう。ガラスの片側表面に凸凹を設けた構造により、外から中の様子を見えにくくする効果があります。

もっとも安価で手軽に目隠し対策できるのが、ホームセンターなどで販売しているスモークガラスフィルムを貼る方法です。ただし、夜に照明をつけている状態だと外から見えるほか、日中は外から光が入ってくる量が下がってしまうデメリットがあります。

➁ 二重サッシにする

音漏れを防ぐには、二重サッシにするのが有効です。二重サッシとは窓の内側にもう1枚窓を設ける構造で、防音性を高められます。
寒さの厳しい地域の住宅で使用されており、優れた断熱性で寒さ・暑さ対策にも効果を発揮します。ただし、当然ながら1枚窓と比べて高価格です。また、掃除しにくく、窓の開け閉めが面倒といったデメリットがある点にも留意しておきましょう。

③ 高断熱窓を選ぶ

冷暖房効率を高めるには、断熱性に優れた「高断熱窓」を設置するのも有効です。ガラスを2~3枚使った「複層ガラス」により、一般的なガラスと比べて高い断熱性を発揮します。フレームにも断熱性に優れた樹脂や、アルミ樹脂複合素材を採用しているのも特徴です。
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まとめ

ベランダに掃き出し窓の設置を計画するなら、メリットとデメリットの双方を理解し、検討することが重要です。検討段階で迷った際にはリフォームのプロに相談するのがおすすめです。きっと、専門家ならでは視点でご自宅やご家族に適した提案をしてくれるでしょう。
◆記事監修
一般財団法人住まいづくりナビセンター 専務理事 
河田 崇

元 独立行政法人 住宅金融支援機構 部長
工務店向けの省エネ基準解説書や木造住宅工事仕様書の作成などに従事
マンション管理士 建築基準適合判定資格者 2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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