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給湯器
更新日:2021年09月30日
エコキュートとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説
エコキュートを導入すると節電・節約になるという話までは聞いたことがあっても、エコキュートとは具体的にどのようなものなのか、どういうメリットがあるのかまでは詳しく分からないという方もいるでしょう。
今回はそんなエコキュートの仕組みや導入するメリット・デメリットを解説します。
エコキュートの種類
エコキュートは大きく分けて以下の3種類に分けられており、それぞれ機能や特徴が異なります。
ここでは、3種類のエコキュートのタイプについて、それぞれくわしく解説していきます。
給湯専用タイプ
お風呂の自動お湯張りや追い焚きなどの自動機能がなく、直接蛇口を捻ってお湯を出し止めすることができるタイプのエコキュートです。
最低限の機能のみが搭載されたシンプルな給湯器のため、他のタイプのエコキュートよりも設置費用が安く済みやすいメリットがあります。
ただし、自動でお湯張りを止める機能が搭載されていないため、お風呂のお湯を出す操作のみではなく、自身で直接お湯を止めに行く必要がある点に注意しましょう。
お湯がぬるくなったときや足りなくなったときに足し湯をしたい場合も、自身で温度を設定し、お湯を出す必要があります。
オート・セミオートタイプ
自動でお湯張りと足し湯ができる機能が搭載されたエコキュートです。
お湯張りを自動で停止してくれるため、お風呂のお湯を止め忘れて出しっぱなしにしてしまうなどのミスを防ぐことができます。
フルオートタイプほど様々な機能は搭載されていない半面、その分価格が安くなりやすいメリットもあります。
ただし、保温や追い焚きの機能は搭載されていないケースが多いため注意しましょう。
セミオートタイプのエコキュートを導入するときは、具体的にどの機能が搭載されているのかをよく確認しておくことが特に必要になるでしょう。
フルオートタイプ
お湯張りや足し湯だけではなく、追い焚きや保温を全自動で行うエコキュートです。
お湯の温度や量を設定しておけば、あとは機器が自動で調整してくれるため、ほぼ全ての機能がボタンひとつで使える利便性の高さがメリットといえるでしょう。
一方、設定次第では必要がない場合でも自動で足し湯や保温などがされてしまい、その分のコストがかかってしまう注意点があります。機器の設定や管理が重要になるでしょう。
フルオートタイプのエコキュートは、お風呂の使用に関して手間をかけず、いつでも快適な温度で入浴をしたいという方におすすめです。
エコキュートを使うメリット
快適な温度での入浴ができるエコキュートですが、導入するにあたって具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
エコキュートを使うことによるメリットは、大まかに以下の4点です。
以下でそれぞれ詳しく解説していきます。
光熱費が安くなりやすい
エコキュートには、他の給湯器に比べて光熱費が安くなりやすいメリットがあります。
光熱費が安くなりやすい理由としては、「電力消費の効率が良い」ことと、「夜間電力を利用できる」ことのふたつが挙げられます。
電力消費の効率が良い
エコキュートの「自然冷媒」を使ってお湯を沸かす技術は、稼働時に必要な電力に対して得られる熱エネルギーが多いという特徴があります。
そのため、従来の給湯器よりも少ないコストでお湯を温められ、結果的に光熱費を節約できることが多くなります。
また、エコキュートは電気代が安い時間帯にお湯を沸かす機能が導入されており、その仕組みを使うことによりランニングコストを下げやすくなっている特徴があります。
割安な夜間電力を使用できる
深夜の電気料金が安くなるプランに加入している場合、タンクへのお湯の継ぎ足しを深夜に設定することで、安い電気代でお湯を沸かすことができます。
電気料金が深夜も同じ場合や、昼間にタンクのお湯がなくなってしまった場合は通常の電気料金でお湯を沸かすことになります。
深夜にタンクのお湯を継ぎ足す場合は、昼間にタンクの水がなくならないように工夫して使うことや、余裕を持って大きめのタンクを設置すると良いでしょう。
省エネ効果が高く環境対策に強い
エコキュートには空気の熱を圧縮して得られるエネルギーでお湯を沸かしますが、この方法は電気代が安く済むだけではなく、省エネルギー効率が高いメリットもあります。
エコキュートの稼働に使用する空気の熱は再生可能エネルギーであり、それらと少量の電力を組み合わせて効率よくお湯を沸騰させる仕組みとなっています。
そのため、他の給湯機器よりも省エネ効果が高いといえるでしょう。
停電や断水などの非常時でもお湯が使える
エコキュートのタンクに保存したお湯は、災害などで停電・断水した際にも生活用水として使うことができます。
その理由は、エコキュートのタンクには真空断熱方式を採用しており、停電してもお湯の温度の変化が少なく、災害時に生活用水として利用することができるからです。
ただし、容量はエコキュートのグレードやメーカーによって異なることと、飲むために使用する場合は殺菌・消毒のために一度煮沸する必要があることの2点に注意しましょう。
補助金制度を利用できる場合がある
エコキュートは省エネルギー性が高く、地球温暖化の防止や対策に役立つことから、個人住宅や集合住宅にエコキュートを導入する個人・事業者に対して、補助金を支給する自治体もあります。
2021年現在では終了している制度もありますが、今でも継続しているものも少なくありません。住んでいる自治体に補助金制度があるかどうかを調べ、支給を受けられるかどうか確認しておきましょう。
たとえば、東京都江東区の場合、エコキュート機器を設置する際に発生する経費の5%(個人住宅の場合は上限4万円まで)の補助金を受け取ることができます。
(出典:(個人住宅用・集合住宅用)地球温暖化防止設備導入助成|江東区" https://www.city.koto.lg.jp/380201/machizukuri/kankyo/sedo/30jyosei.html )
個人住宅であっても補助金の対象となるケースがあるため、エコキュートを導入する際は自治体や国の制度を確認してみると良いでしょう。
エコキュートを使うデメリット
エコキュートの導入にあたってデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
エコキュートを使うことによるデメリットは、大まかに以下の4点です。
以下でそれぞれ詳しく解説していきます。
設置費用が高くなりやすい
エコキュートを使用した場合の月々の光熱費やランニングコストは安くおさえられやすいのですが、導入にあたっての設置費用が従来の給湯機器と比べて高くなりやすいです。
具体的には、エコキュートの導入にあたってタンク、ヒートポンプ、配管などの設置のための工事が必要になります。
長期的な視点で見た場合、エコキュートは光熱費の節約にはかなり役立ちますが、導入時にかかる初期費用の面でハードルが高くなりやすいです。
そのため、家庭の使用状況や使用期間によってはそれほど節約の効果を体感できない可能性があります。
広めの設置スペースが必要になる
エコキュートを設置する際は、貯湯タンクとヒートポンプユニットの2つを設置するためのスペースを確保する必要があります。
そのため、上記の2つを設置できるスペースがない場合は、エコキュート自体を使用できない可能性があるので、注意しましょう。
また、エコキュートを家の裏側に設置することを考える場合、スペースによってはタンクとユニットを置くことで通路が塞がってしまうリスクもあります。
設置する機器のサイズを調べておき、設置スペースに収まるかどうかを実際に測って確認することが必要になるでしょう。
定期的なメンテナンスが必要になる
エコキュートの貯湯タンクは水道水で運用しますが、その水道水に含まれるミネラル成分やごくわずかな不純物の除去を行うため、定期的なメンテナンスが必要となります。
メンテナンスをしないままだと、汚れている水を使い続けることになるため、水質を維持できなくなり、健康上のリスクとなります。
最低でも、半年に一度はタンクの水抜きやフィルターの掃除が必要になるでしょう。
入浴剤が使用できない場合がある
入浴時、入浴剤を使用することでエコキュートの故障の原因となってしまう場合があるため、注意が必要です。
特に、追い焚き機能や保温機能があるフルオートタイプのエコキュートは一部の入浴剤を使用できないケースがよくみられます。
その理由は、エコキュート機器の設計上の仕様にあります。
追い焚き機能や保温機能は、浴槽から配管を通って熱交換器につながっています。
硫黄成分や炭酸ガス、塩化ナトリウムや炭酸カルシウムなどが使われる入浴剤を使用することにより、配管や熱交換器を腐食させてしまうことがあります。
ただし、給湯器と入浴剤によっては、問題なく使用できるケースもあります。メーカーごとにそれぞれの機器がどのような入浴剤を使用できるのかを公表していますので、公式サイトなどで導入前に確認しておくといいでしょう。
エコキュートのメンテナンス方法
ここでは、エコキュートのメンテナンス方法について解説します。
エコキュートのメンテナンスでは、大まかに以下の5つの箇所をメンテナンスしていきます。
以下でそれぞれ詳しく解説していきます。
タンクの清掃
タンクの清掃は主に水抜きの作業となります。1年のうちに3回程度、タンクの中の水を全て抜いておくことをおすすめします。
なお、冬の水抜きは作業の負担が大きくなりやすいため、秋や春を目途にタンクの清掃を行っておきましょう。
タンクの水抜きを行うときの手順は、大まかに以下の通りです。
基本的にタンク内の水や小さなゴミはすべて排水栓から流れていくことが多く、定期的なメンテナンスとしては水抜きで十分なケースがほとんどです。
ただし何度水抜きをしても汚れが落ちないなど、不審な点がある場合は専門の業者に相談してみると良いでしょう。
なお、エコキュート機器によって水抜きの詳細な手順が異なる場合がありますので、メンテナンスの際は必ず取扱説明書や注意事項を確認するようにしましょう。
浴槽フィルターの清掃
浴槽フィルターは浴槽へお湯が出る部分になります。
浴槽フィルターには、髪の毛、小さなゴミ、水垢が詰まることが多く、それらが放置された状態で使用していると、お湯が出にくくなるだけではなく故障の原因にもなります。
具体的な方法としては、フィルターを外してブラシで擦る、水道水で流して洗うなどの方法で掃除することが有効です。
配管の清掃
お風呂に追い焚きや保温の機能がついている場合、お湯の循環のための配管に汚れがついてしまう可能性が高いです。
そのため、半年に1回程度を目安に配管の清掃をすることをおすすめします。
配管の清掃には、循環器のついているエコキュート用の洗浄剤を使用します。市販で購入できるものを使い、メンテナンスを行いましょう。
なお、配管はエコキュート機器によって清掃方法が異なる場合が特に多いパーツです。お手入れやメンテナンスの際は、必ず説明書や注意事項を確認するようにしましょう。
逃し弁の作動点検
逃し弁はタンク内の水が温度上昇により膨張したときに、自動で排水をしてタンクを故障から守る安全装置です。
逃し弁が正常に作動しないと、タンクの故障に繋がるため、半年に1回程度を目安に逃し弁が正常に作動しているか確認しておきましょう。
逃し弁の作動の確認方法は、大まかに以下の通りです。
なお、安全のために逃し弁の作動点検はお湯を沸かしていないタイミングで行うようにしましょう。
漏電遮断器の作動点検
漏電遮断器は、エコキュートが漏電した際に自動で電源を落とすための安全装置です。
もし、漏電遮断器が作動しない場合、家全体のブレーカーが落ちてしまうので、半年に1度は漏電遮断器の作動点検をしておきましょう。
漏電遮断器の作動点検の方法は、大まかに以下の通りです。
まとめ:エコキュート設置やメンテナンスは業者とも相談を
今回は、エコキュートの特徴やメリット・デメリットを解説し、エコキュートのメンテナンス方法を紹介しました。
エコキュートの設置にはスペースや工事、メンテナンスを必要とします。
設置を検討する際は専門の知識を持つ業者とも相談をして、自宅にエコキュートの設置が可能か、どのタイプの機器なら設置できるのか、具体的なアドバイスをもらうと良いでしょう。
*全国の登録事業者が表示されますので、お住まいのエリアに絞って検索ください。
(2021年9月22日掲載)
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