その空き家、購入しちゃって大丈夫?~「空き家バンク」の活用と、空き家取得への備え

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その空き家、購入しちゃって大丈夫?~「空き家バンク」の活用と、空き家取得への備え

掲載日:2023年8月18日

テレワークの普及により「自然豊かな地方に移住して「空き家」をリフォームして・・・」
このことは日本全体の課題である「空き家解消」にもつながるので、非常に意義深いことだと思いますが、専門知識も持っていない一般ユーザーにとっては、注意しなければいけないこともあります。
本稿では、リフォーム評価ナビを運営している一般財団法人住まいづくりナビセンター専務理事の河田崇が「空き家を取得することへの備え」についてご紹介します。

移住について、いろいろ考えたい

コロナ禍をきっかけに「家族で地方移住して、仕事はテレワークで!」という意向を持つ方も珍しくなくなりましたね。
どこのエリアに移住するか?移住先の「地縁社会」になじめるか?実際の住処を決める前にじっくり考え、悩まなければいけないことはたくさんあります。「地域になじめず失敗しちゃった・・・」というケースを私はテレビで見たこともあります。

ここでは、移住先選びに関する詳細は触れませんが、移住について考えるにあたっては、内閣官房・内閣府がさまざまな情報を掲載している「はじめての移住応援サイト いいかも地方暮らし」をお薦めします。

「空き家」バンクで物件探し

移住・住み替えにあたっては、さっそく販売物件を探すか、土地を探して新築するか、ひとまず賃貸に入居するか、いくつか選択肢がありますね。
取得コストを抑えたい・・・ということであれば、一般的な流通市場では取引がされにくい「郊外の空き家」を購入して自分らしくリフォーム・リノベーションして住むことも、とても夢が膨らみます。

人口減と空き家増を課題としてとらえている市町村ではネット上で「空き家バンク」を開設し、物件情報を掲載していますので、住まい探しにあたって活用することができます。そのような全国の情報をとりまとめているのが国土交通省の「空き家・空き地バンク総合情報ページ」です。 → こちら

そして、このページに掲載されている2つの「全国版空き家バンク」では、物件情報だけでなく、移住・住み替えに役立つさまざまな情報が掲載されています。

LIFULL HOME'S空き家バンク → https://www.homes.co.jp/akiyabank/
アットホーム空き家バンク → https://www.akiya-athome.jp/

「空き家」ならではの不安要素を認識しておく

いくつかの空き家が購入検討候補となったら、当然かも知れませんが「必ず現物を自分の目で見る」ようにしましょう。サイトを通じてさまざまな情報・写真を把握することはできますが、時間をかけて現地で実物を見ることは非常に大切です。
なぜなら、長く活用されてこなかった「空き家」は、市場で流通してこなかった物件です。市場価値があれば、すぐに売れて、空き家バンクに登録する必要は一切ありません。何らかのマイナス要素があることを、最終決定する前に必ず自分の目で認識しておく必要があります。

・とにかく古い。外壁も汚れている・・・
・公共交通の利便性が悪い。バス停からも遠い・・
・隣地との敷地境界線があいまい
・道路に接していない。そのため再建築・建替えができない。
・夜になると街灯もなく、真っ暗

などなど、いろんなことを確認しておきたいものです。
空き家バンクを運営したり、移住を支援している市町村では、こういった不安要素を少しでもなくすためのサポート・支援をしているところもあるようです。

例えば、三重県伊賀市の「伊賀流空き家バンク」では、専門機関と連携し、住宅診断や住宅性能評価、不動産鑑定の仕組みを空き家バンクに取り入れているとのことです。 → 伊賀流空き家バンク
移住・住み替え先の市町村に、このようなサポート・支援がないか、必ず問い合わせ・相談をしてみましょう。

自分の目で確かめた・・・だけでは、まだ不安

空き家を現地で自分の目で見て、

「壁の汚れなどは、クロスを張り替えれば綺麗になるだろう」
「浴室、給湯器など水回りは全面交換して・・・」
「庭の雑草は、時間をかけて草むしりで頑張ろう!」
と、自分なりに考え、納得してしまうかもしれません。

でも、建築の専門家ではない方にとっては、
・耐震性能は大丈夫なのか?地震で倒れない?
・天井裏の状態は?雨漏りはしないのか?
・給水管、給湯管などは、このまま使えるのか?
といった、壁や天井、床で隠された部分の状態はよくわかりません。

「素敵な空き家を購入して、いざリフォームをしようとしたら、天井裏がハクビシンの巣になってしまっていて、とんでもないことに・・・」と、アナウンサーの方が自らの体験として話していたのをラジオで聞いたこともあります。 
参考:アライグマ・ハクビシンについて(東京都環境局)

やっておきたいインスペクション(建物状況調査)

そこで、住宅の基礎、外壁等に発生しているひび割れ・雨漏り等の劣化・不具合の有無を調査する「建物状況調査」(インスペクション)を行っておけば安心度が増すはずです。不具合がどの部分に、どの程度あるのかがわかれば、その後のリフォーム計画に反映させることができます。購入前であると、売主さんと相談したうえで、実施することが必要になりますが、長く利用されていなかった「空き家」だからこそ「住まいの健康診断」は大切です。
「建物状況調査」(インスペクション)について → こちら

建物状況調査は国に登録された講習を修了した建築士「既存住宅状況調査技術者」が行います。リフォーム事業者検索サイト「リフォーム評価ナビ」では、既存住宅状況調査技術者を有する工務店を検索することができますので、ご活用ください。→ こちら (※全国の登録事業者が表示されますので、お住まいのエリアに絞って検索ください。)

遠隔地のリフォーム事業者をどうやって見つける?

現在の住まいから離れた遠方で、空家を購入して、さあ次はリフォーム!
さて、土地勘もない地縁もない遠隔地で、どうやって安心できる事業者を探すか?
リフォーム評価ナビでは、全国1,000を超える事業者について、実際にリフォームを依頼した施主の方の「口コミ」や、リフォーム事例写真などを掲載し、皆さんの事業者選びのお手伝いをしています。ぜひ、ご利用ください。 → こちら

また、一般財団法人住まいづくりナビセンターでは、さまざまな相談メニューにより「住まいづくり」だけでなく、「空き家」に関することも含め、全国どこからでもWEBで相談を承っています。まずはお気軽にアクセスしてみてください。

◆執筆者
一般財団法人住まいづくりナビセンター 専務理事 
河田 崇

元 独立行政法人 住宅金融支援機構 部長
工務店向けの省エネ基準解説書や木造住宅工事仕様書の作成などに従事
マンション管理士 建築基準適合判定資格者 2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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