団地がこんなにおしゃれになるの!?その魅力とリノベーション成功事例集
掲載日:2024年9月19日
「団地」と聞くと、皆さんはどのような住まいを想像されますか?
日本では、経済成長期に様々な形で大量に住宅が供給されました。例えば、郊外の山林を切り開いて造成した大規模宅地に、戸建住宅が集まっている「〇〇ニュータウン」。住宅供給公社や住宅公団が建てた、4~5階建ての箱型の集合住宅が何棟も集まり、一つの「まち」のようになっているエリア。
いずれも「団地」と呼ばれることがありますが、本記事では、後者の箱型の集合住宅の専有部、一住戸について手を加えることを「団地リノベーション」と呼び、その魅力について解説します。
「団地リノベーション」は、手頃な価格でオリジナリティある自分好みの住まいを実現するための魅力的な選択肢の一つです。コミュニティや、公園などの共有施設が充実している点もあり、近年子どものいる家族や老後のシニア世帯などに注目されています。本記事では、「団地リノベーション」の魅力や成功事例、施工業者の選び方など、必要な情報を分かりやすく解説します。
団地リノベーションとは?
この記事では、築年数の経った4~5階建ての箱型の集合住宅が集まり構成されているエリアにおいて、その中の一住戸(専有部分)を住みやすくリノベーションすることを「団地リノベーション」と呼びます。
日本国内では、経済成長期に大量に供給された団地が多く存在し、これらの団地は現在、老朽化が進んでいます。間取りや設備が古く、現代の生活では住みにくいところがあるのも事実です。しかし、同じエリアの住宅に比べ価格が抑えられている場合が多いため、リノベーションを行うことで、手頃な価格で自分たちの理想を実現できるとして、多くの人が団地での暮らしに興味を持っています。リノベーションの手法としては、専有部分では間取りの変更、設備の更新、インテリアの刷新などが挙げられます。
また、新築住宅の販売価格の高騰や環境への配慮から、新築ではなく既存の住宅をリノベーションして住む選択を選ぶ人が徐々に増えていることも、「団地リノベーション」が注目される一因となっています。
団地リノベーションの魅力
「団地リノベーション」の魅力は多くあります。まず、コストパフォーマンスの良さが挙げられます。新築マンションと比較して、団地は購入価格が低いため、リノベーションにかかる費用を含めても総コストが抑えられる可能性があります。また、団地の持つ独自性とビンテージ感を魅力に感じる人もいるでしょう。古い建物の持つ味わいを活かしつつ、現代風にアレンジすることで、唯一無二の住まいを作ることができます。
さらに、団地は広い敷地内に公園や緑地があり、子育てに適した環境が整っています。シニア層にとっては、敷地内や近くに商店やバス停があるなど、住みやすい環境が整っているといえるでしょう。
建設されてから年月が経っている分、豊かなコミュニティが存在する点も魅力です。自治会活動や住民同士の交流が活発なことは、子育て中の世帯やシニア層が生活する上で安心につながるでしょう。
団地リノベーションのデメリット
多くの魅力的な点がある「団地リノベーション」ですが、もちろんデメリットもあります。
団地の中には、バリアフリーなどの考え方が広まる前に建てられた物件も多く、エレベーターが設置されていないこともあります。その点はシニア層にとって、デメリットと言えるでしょう。
また、豊かなコミュニティは団地の魅力ですが、ご近所とのコミュニケーションや人間関係の構築を煩わしく感じる人にとっては、不向きと言えるかもしれません。
物件の購入前には、実際に現地に何度か足を運び、部屋の中だけではなく、団地全体の雰囲気を確かめることをおすすめします。
団地リノベーションを始める前に
「団地リノベーション」を成功させるためには、まずリノベーションの目的を明確にすることが重要です。例えば、若いカップルであれば、将来的な子育てに適した間取りや充実した収納スペースを重視するかもしれません。一方で、リタイア後のシニア層であれば、バリアフリー設計や使いやすい設備を求めるでしょう。「お風呂はそこそこの設備で良いけど、キッチンは最新のものにしたい」「リビングの内装に費用をかける代わりに、寝室はなるべく現状のものを使おう」など、優先順位を家族で話し合っておくと、その後のリノベーションの計画がスムーズに進みます。
団地リノベーションの費用と予算計画
リノベーションにかかる費用は、物件の状態やリノベーションの規模によって異なります。一般的には、内装工事、設備の更新、間取り変更などが主な費用項目です。間取りの変更の規模や導入の設備のグレードなどの内容によって大きく変動します。複数社から相見積を取り比較検討することをおすすめします。
また、予算計画を立てる際には、予期せぬ費用が発生することを見越して、余裕を持たせておくことが重要です。特に、古い団地では構造的な問題や配管の老朽化など、予期せぬ修繕が必要になる場合があります。こうしたリスクに備えるために、予算ギリギリで計画を立てるのではなく、予備費として確保しておくことをお勧めします。
中古住宅購入とリノベーションのセットに対するローンなども登場していますので、検討してみるのもいいかもしれません。
団地リノベーションを行う施工業者の選び方
信頼できる施工業者を選ぶことは、「団地リノベーション」を成功させる上で不可欠です。施工業者の選び方としては、まず過去の実績を確認することが重要です。口コミや施工事例などから、「団地リノベーション」の実績やセンスが合うのかをしっかりと見極めましょう。また、見積もりを複数の業者から取り、価格だけではなく内容を比較することも大切です。
リノベーションを行う際には、業者とのコミュニケーションがスムーズに取れるかどうかも確認しましょう。施工期間は長いと数カ月かかる場合もあり、施工完了後もメンテナンスなどで施工業者とのお付き合いは続きます。施工業者との円滑なコミュニケーションは、その後の生活の安心にもつながります。
団地リノベーションの事例紹介
「団地リノベーション」の事例を紹介することで、自身のリノベーション計画の参考にし、より具体的なイメージを持つことができます。ここでは、リフォーム評価ナビに掲載されている「団地リノベーション」の事例を紹介します。
参考事例1
“築年数が古い団地のリノベーションを行いました。比較的制限が多い建物構造だったのであまり間取り変更ができませんでしたがその分、大規模なリノベーションに比べて価格を抑えてデザインが良い住居となるよう設計をいたしました。”
参考事例2
「したい」を可能にしたリノベ|株式会社ソレイユ・リビング・テックのリノベーション事例
“築50年の団地の良き価値の見直し、新しい価値の融合させた味わいのあるお住まい。隣接したお部屋の壁を撤去して、幅3m20cmの多目的にたっぷり収納できるファミリークローゼットを造作し、ゆったり過ごせる1LDKへ。”
“築50年の団地の良き価値の見直し、新しい価値の融合させた味わいのあるお住まい。隣接したお部屋の壁を撤去して、幅3m20cmの多目的にたっぷり収納できるファミリークローゼットを造作し、ゆったり過ごせる1LDKへ。”
参考事例3
“『古い』『暗い』『ちょっとダサい』という団地の印象を一新!
〖男前ヴィンテージ〗をコンセプトに団地をフルリノベーションしました。”
不安な場合は、専門家への相談もあり
大規模なリノベーションや中古住宅の購入の計画に不安がある場合は、専門家に相談してみるのも一つの方法です。不動産会社や建築士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家は、団地を始めとする中古住宅やリノベーションについての豊富な知識と経験を持っています。専門家からのアドバイスを受けることで、自分たちに合った物件選びのポイントやリノベーション計画の優先順位がより明確になるでしょう。
住まいづくりナビセンターでは、住宅購入や住まいづくりを考えはじめた方の“はじめの一歩”をサポートする情報提供や専門家相談を行っています。
全国からオンラインでの参加も受け付けておりますので、ぜひお申込みください。
団地リノベーションの今後のトレンド
住宅選びには、時代の変化に応じて新しいトレンドが生まれ続けています。日本では長年新築至上主義が続いてきましたが、近年は不動産価格が高騰している影響もあり、エコやサステナビリティを意識したリノベーションが注目を集めています。古いものを活かす「団地リノベーション」もその一つです。
また、団地のコミュニティスペースをリノベーションして、住民同士の交流を促進するプロジェクトも増えています。これからの団地リノベーションは、単なる住宅改装に留まらず、地域全体の活性化にも寄与するものとなるでしょう。
団地リノベーションまとめ
今回の記事では、団地リノベーションの魅力と方法、実際のリノベーション事例についてまとめました。
・「団地リノベーション」は、手ごろな価格で自分らしい住まいを手に入れる選択肢
・「団地リノベーション」は魅力的だが、デメリットもある
・「団地リノベーション」の計画の立て方
・「団地リノベーション」の施工事例
「団地リノベーション」は、住まいを探す際に、手頃な費用で理想を実現できる魅力的な選択肢です。また、日本の住宅市場においても経済的、環境的、そして社会的に大きな意義を持ちます。リノベーションを通じて、古い団地が新たな魅力を持つ住まいへと生まれ変わり、持続可能な社会の実現や地域コミュニティが活性化されることは、元から住んでいる住民にもこれから新しく住む人々にも大きなメリットです。
「団地リノベーション」を考える際には、成功事例を参考にしながら、費用や構造的な問題などのリスクをしっかりと理解し対策を講じながら進めましょう。
◆執筆者
一般財団法人住まいづくりナビセンター リフォーム評価ナビ 事務局K
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