床材の種類を総まとめ!それぞれの特徴や選び方のポイントを解説
掲載日:2022年8月25日
新築やリフォーム時に決めることになるのが、室内に使用する床材です。床材は部屋の用途によって最適なものを選ぶ必要があるため、なにを選択したらよいか頭を悩ます方も少なくありません。
また、それまでに使っていた床材とは別の種類を使用してみたいという場合でも、床材ごとの使用感や用途が分からないままでは、適切なものを選ぶことは難しいでしょう。
そこで今回は、床材の種類はどのようなものがあるのか、各床材の特徴やメリットを解説していきます。床材選びの注意点もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
フローリングには無垢と複合の2種類がある
室内向けの床材としてよく使用されるのが、木を素材とするフローリングです。
フローリングは触れた時の感触がソフトで肌ざわりが良く、自然な見た目や質感で部屋になじませやすい特徴があるため、多くの住宅で取り入れられています。
フローリングは大別すると、「無垢(むく)フローリング」と「複合フローリング」の2種類に分けられます。同じフローリングであってもそれぞれの特徴やメリットが異なるため、住宅にフローリングを採用する際は、どちらを選ぶのか事前に考えておくと良いでしょう。
以下では、無垢フローリングと複合フローリングについてそれぞれ詳しく解説します。
無垢フローリング
無垢フローリングとは、切り出した木材をほぼそのままの自然な状態で利用する「無垢材」を使ったフローリングのことです。
後述する複合フローリングとは違い、他のパーツを切り出して木材に重ねることはせず、単層で使用します。そのため、「単層フローリング」と呼ばれることもあります。
無垢フローリングのメリット
無垢フローリングは、フローリングの中でも肌触りが良いものが多いため、足への負担をやわらげる特徴があります。触り心地だけでなく見た目の良さもあり、室内をナチュラルな雰囲気にすることができるでしょう。
さらに、無垢フローリングは、水分の吸水と放出を行う「調湿効果」に優れ、自然を感じられる「木の香り」でリラックスできます。そのため、全体的に過ごしやすい空間づくりを行えるメリットがあります。
また、生活していれば付くことが避けられない床の傷なども、無垢フローリングなら月日とともに風合いが増してデザインの一部のように見え、むしろ味わい深さとして感じることもできるでしょう。
無垢フローリングのデメリット
無垢フローリングは調湿効果に優れている反面、水分に弱いというデリケートな特徴があります。
具体的には、水分を吸収することによって木材の収縮や膨張が起こり、床に反りや隙間ができてしまうことです。
そのため、水気のあるものを床にこぼした時は、すぐにふき取るなどの対処が必要です。
また、複合フローリングに比べて施工の難易度や木材の品質が若干高めで、その分工事費が高くなるケースもあります。
複合フローリング
複合フローリングは、合板や集成材と呼ばれる素材の表面部分に、木材やシートを貼って使用するフローリングのことです。
防音加工や床暖房対応といった様々な用途に合わせやすいことから、現在は無垢フローリングより複合フローリングの方が広く普及しているようです。
複合フローリングのメリット
複合フローリングは木材をベースに様々な板やパーツを組み合わせて作ります。
この構造により、無垢フローリングと違って、水分を含むことによる木材の反りや膨張などが起こりづらく、全体的に安定しています。
また、複数の素材を組み合わせる性質上、デザインや機能の選択肢も豊富です。
たとえば、摩擦や摩耗に強く傷や凹みが付きにくい製品や、木材でありながら大理石のような意匠性の高い製品もあります。
そのため、様々な特徴を持つ床材の中から、自分の好みや用途にあったものを選べるメリットがあるでしょう。
複合フローリングのデメリット
複合フローリングには、無垢フローリングのような優れた調湿効果がありません。さらに、無垢フローリングよりも質感のソフトさや肌触りの点で若干劣ることがあります。
また、深い傷が付いてしまった場合の補修方法が無垢フローリングより限られることにも注意が必要でしょう。
無垢フローリングであれば、生活の中で付いてしまった傷も、表面を削ることできれいな状態に補修できますが、複合フローリングの場合は、削って補修することが難しいため、大きな傷をつけてしまった時は、フローリングの貼り替えを検討する必要があります。
複合フローリングの種類について
複合フローリングは、合板と表面化粧材を貼り合わせたフローリングのことですが、その化粧材によって、「挽き板タイプ」「突き板タイプ」「シートタイプ」の3つの種類に分けられます。
■挽き板タイプ
「挽き板タイプ」は、天然木を電動鋸で2㎜程度の厚みに“挽いた”板を、表面化粧材に使用するフローリングのことです。
2㎜程度というと薄く感じられるかもしれませんが、表面材としては十分な厚みです。無垢材と同じような温かみのある質感を再現できるうえ、基材となる合板自体は反りやゆがみに強いので、とても使い勝手のよいフローリングといえます。
■突き板タイプ
「突き板タイプ」は、木材をロータリーという機械で0.2〜1mmほどの薄さにスライスした板を表面に貼り合わせたフローリングです。
合板と表面化粧材を貼り合わせるという構造自体は「挽き板タイプ」と同じですが、その薄さのため「挽き板タイプ」ほど、無垢材の質感は感じられないものの、コストを抑えることができ、合板の持つ機能性とコストを両立した魅力的なフローリングといえます。
また「突き板」は、フローリング以外に、天井材や家具などにも使用されています。
■シートタイプ
「シートタイプ」は、樹脂や紙などに「木目模様」をプリントしたシートを、基材の表面に貼り合わせたフローリングです。
表面がシートのため、お手入れがしやすく、また天然木に比べコストを抑えることができるのもメリットのひとつです。
ただし、表面の木目はシートへのプリントであるため、天然木が経年によって醸し出す風合いや味わいなどを楽しむことはできません。
フローリングに使われる木材とは?
フローリングに用いられる素材として様々な種類の木が使用されていますが、使われる木材は大きく分けると、針葉樹と広葉樹のふたつになります。
使われる木材によってフローリングの特徴が変わるため、フローリングを選ぶ際は木材の種類にも注目すると良いでしょう。
ここでは、針葉樹と広葉樹を使ったフローリングの特徴について、それぞれ解説していきます。
針葉樹
針葉樹を使った木材は広葉樹に比べて柔らかく、肌触りが良い特徴があります。主に無垢フローリングに使用されます。
肌触りがソフトな反面、表面が傷つきやすいデメリットがあります。
無垢フローリングに使用される針葉樹の例としては、全体的に白く明るい印象の「パイン」や耐水性に優れ香り高い「ヒノキ」といった日本国内でもよく見られる木が挙げられます。
広葉樹
広葉樹を使った木材は針葉樹の木材に比べて硬めですが、水分による反りや膨張が起こりにくい特徴を持っています。そのため、複合フローリングの表面部分に用いられることが多いでしょう。
フローリングに使用される広葉樹の例としては、耐久性や耐湿性に優れる「チェスナット」や、硬く重厚な質感を持ち、くっきりとした虎班(とらふ)模様が特徴の「オーク」が挙げられます。
広葉樹の木材は全体的に色合いに深みがあるため、広葉樹を使ったフローリングは、落ち着いた高級感のある雰囲気を引き立たせることができます。
フローリング以外の床材の種類
住宅に使われる床材はフローリングだけではありません。他にも様々な種類があります。それぞれのメリットやデメリットを把握しておくことで、より住宅にあった床材選びができるでしょう。
ここでは、フローリング以外の床材の種類と、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。
クッションフロア
クッションフロアとは、塩化ビニール樹脂という素材を用いた床材を指します。
素材がビニールなので、水や油をはじきやすい性質があり、床の水汚れや油汚れをケアしやすい特徴を持っています。そのため、掃除やお手入れがしやすいというメリットがあります。
また、柔らかいクッション性の素材を床面の裏側に使用しているので、歩行時の足の負担や転倒した際のケガのリスクを軽減できます。
ただし、クッションフロアは使い勝手に優れる反面、質感やデザインの面で他の床材よりも安っぽく感じてしまうことがあります。
見た目よりも使い勝手を重視したい方におすすめの床材といえるでしょう。
カーペット(タイルカーペット)
現在では少なくなっていますが、肌触りの良さやデザインを重視して床一面をカーペット仕上げにする住宅もあります。
カーペットやタイルカーペットは、断熱性に優れていることが特徴です。その見た目の美しさだけではなく、冬場であっても冷たい床に触れることなく室内で過ごせるメリットがあります。
しかしその反面、水拭きができず掃除やお手入れに手間がかかるデメリットがあり、ダニの温床になりやすい弱点があります。
また、高齢の方が住む住宅であれば、カーペットの断熱性はメリットになりますが、車椅子やキャスターでの移動がしづらくなるため、バリアフリー化の点からみるとデメリットともいえます。
床全体をカーペットにする際は、事前にデメリットを把握しておくことが重要でしょう。
畳
畳は従来から日本の和室に採用されてきた伝統的な床材です。
基本的にはイグサという植物を織って敷物を作り、床に敷き詰めていきますが、近年では化学繊維やパルプをイグサ状にして畳に加工した製品もあります。
畳は、無垢フローリングのように調湿効果に優れているため、和の趣を感じつつも快適で居心地の良い空間づくりに向いています。
しかし、畳は長く使うと傷んできて、専門業者による張替えが必要になる等、メンテナンスを要します。その点は考慮しておきましょう。
石材
大理石などの石材は、一般的にはお風呂やキッチンといった水回りの床材として使用されますが、見た目やデザイン性を重視した住宅であれば、リビングやダイニングにも採用されています。
石材を床材にするメリットは、高級感のある上質なデザインを部屋に取り入れることができる点です。
特に、天然の大理石で作られた床材であれば、一般的な石材を使用するより高級感あふれる魅力的な空間をつくることができるでしょう。
一方、石材を使用した床材は表面が非常に硬く、ふとした転倒で大ケガにつながることもあり、高齢の方や小さなお子様が住む住宅には不向きといえるかもしれません。
タイル
タイルは、陶磁器を素材にしており、質感や使い心地は石材に近い床材です。
製品ラインナップも豊富で、色や柄などを選べる楽しみがあります。また、石材に比べると価格も安い傾向にあり、費用を抑えつつ独創性のあるデザインを追求したい方にはおすすめです。
注意すべき点は、材質が石材に似ているため、表面の硬さや冬場の冷えこみです。また夏場には目地の部分からカビが繁殖することもあり、季節ごとのメンテナンスが必要になる床材といえるでしょう。
コルク
「コルク」というと、弾力のあるワインのコルク栓を思い浮かべる方が多いと思いますが、床材としての「コルク」も、多面的な特徴を持つ優れた床材です。
コルクは、弾力性、吸湿性・吸音性、断熱性・保温性に優れています。
特に、衝撃を吸収する弾力性と防音作用、加えて温かみのある肌触りが評価され、「子供部屋の床材」として採用されることもあります。
またコルクは、リサイクルできる環境に優しい建材としても知られています。
デメリットとしては、日に当たると変色したり、家具などの重量物で床がへこんだりしやすいなどの点が挙げられます。
床材を選ぶ時に注意すべきポイント
住宅に取り入れる床材を選ぶ時は、素材や種類ごとの特徴に注目するだけではなく、床材の選び方にも気を付ける必要があります。
ここでは、どのような基準で床材を選べば良いのか、選び方のポイントを解説していきます。
それぞれの場所に適した床材を選ぶ
床材を選ぶ時は、用途や環境を考慮して、それぞれの場所に適したものを選ぶことが大切です。
たとえば、質感が柔らかく足が疲れにくいクッションフロアであれば、室内で過ごす時間が長いリビングに採用することで、クッションフロアの強みを活かすことができます。
また、各床材が持つデメリットを考慮して、場所と素材を選ぶことも有効です。具体的には「水分によって反りや膨張ができやすい無垢フローリングは水回りに使わない」などです。
全ての居住者にとって過ごしやすい床材を選ぶ
床材選びで忘れがちなのが、その床材を使用した時の「過ごしやすさ」です。
ポイントは、自分だけではなく全ての居住者にとって室内での時間が過ごしやすくなることです。
たとえば、同居する家族に車椅子を利用する高齢の方がいる場合は、移動に支障が出るリスクを考えて、カーペットなどをリビングや廊下などに使うことは控えるべきでしょう。
また、高齢の方に加えて小さなお子様がいる住宅であれば、転倒によって大ケガをするリスクも考慮しておくことが大切です。
例えばこの場合、質感が柔らかく転んでも衝撃を吸収しやすいクッションフロアなどの導入を検討してみるといいかもしれません。
最適な床材選びをリフォーム業者に相談する
床材は居住者の使い心地を意識しながら、最適なものを選ぶことが重要です。
ただし、ご自身のみですべてのポイントを満たす床材を選ぶことは難しいでしょう。
そんな時は、リフォーム業者やプランナーに、住宅内の各箇所にはどのような床材を選ぶべきか、アドバイスしてもらうことをおすすめします。
事前にプロの視点から着実なアドバイスをしてもらうことで、設備と相性の良くない床材を導入してしまうなどのミスマッチを避けることができます。
可能であれば、床部分のリフォームに関する実績やノウハウが豊富なリフォーム業者を事前に調べておき、複数の業者に相談や見積りを依頼するのが良いでしょう。
まとめ
ここまで、床材の種類ごとにそれぞれの特徴やメリット・デメリットを紹介してきました。
床材選びで一番大切なポイントは、導入箇所に最適な「素材」を選ぶことです。最適な素材とは、見た目の美しさや風合いだけでなく、用途や、利用する人の状況や安全性などを多面的に考える必要があります。
より正しい選択をするために、床材の検討段階でリフォーム業者に相談して、プロからアドバイスをもらうことが良いでしょう。
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