マンションのフローリングリフォームは遮音等級に気をつけましょう
マンションでのフローリングへのリフォーム。遮音性の高さに比例した“やわらかさ”に要注意です。
マンションリフォームの人気メニューの一つに、床をフローリングに替えるというものがあります。
木の床ならではの温もりや木目の美しさ、掃除のしやすさなどは魅力的ですが、反面、足音が下階に響くようになるため遮音対策が必要になります。
フローリングへリフォームする前に管理規約の確認を!
床をフローリングにすると、足音が響くようになり、近隣(特に上下階)のトラブルの元になることが少なくありません。そのため管理組合では、フローリングへのリフォームについて決まりを設けているのが一般的です。最も厳しいものでは、フローリングへのリフォームそのものを禁じています。また、多くのマンションでは使用するフローリング材の遮音等級(L値)※が指定されており、階下や近隣の住人の同意が必要、といった規定もそれぞれ決められています。いずれにしても管理規約がどうなっているか、まず確認が必要です。
※遮音等級
床の音の伝わり方を示すものでLH(重量衝撃音。人の足音など)とLL(軽量衝撃音。スプーンなどを落としたときの音)の2種類がある。L値は、その区別なく、両方を総合して評価した値。いずれも数字が小さいほど遮音性能が高い。
「遮音フローリング」は踏み心地を体感しておこう
遮音性が求められるマンションの床に適したものとして「遮音フローリング」と呼ばれるものがあります。これは、表面の木部の裏側にウレタンなどの緩衝材を貼り付け、音の伝播を弱めたものです。性能の高いものでは遮音等級L-45やL-40といったものがあります。ただしL-45でも、イスを引いたりする音は多少聞こえますし、スプーンを落とした音などが聞こえることもあります。L-40になればさらに遮音性能は上がりますが、それでも、まったく聞こえないという状態にはなりません。さらに気を付けなければならないのは、遮音性の高さに比例して緩衝材が厚くなり、そのため床の踏み心地がやわらかく、ふかふかした感じになることです。収納家具などの前を歩くと、それが少し揺れるという現象が起こることもあります。踏み心地がどうなるかという視点で、あらかじめショールームやモデルルームで体感しておくと安心です。遮音に有効な「二重床工法」
床のつくり方には、「遮音フローリング」等を、コンクリートスラブと呼ばれるマンションの躯体に直に貼っていくものがありますが、その他に、このコンクリートスラブから床を浮き上がらせる「二重床工法」があります。スラブの上に金属製の束(つか)を立て、その上にフローリング床を施工します。音が直接スラブに伝わらないので、それだけ遮音性が向上します。ただし、新たに生まれた床下空間に音が反響して下階に伝わることがあるので、施工には注意が必要です。二重床工法の実績のある業者に依頼しましょう。この床下空間にグラスウールなどの防音性のある断熱材を充填することで、反響を抑える方法もあります。大切なのは下階や周囲への気づかい
管理規約を守り、遮音性に十分配慮すれば、床をフローリングにリフォームして好みのインテリアを楽しむことはできます。しかし、どのように床を工夫しても、音がまったく下階に漏れないということはありません。とくに最近では、複層ガラスの採用や内窓の設置などで窓の防音性能が上がり、外からの音が聞こえにくくなっているので、その分、近隣住戸の生活音が耳につくようになっています。十分な遮音対策をほどこすと同時に「音でご迷惑をかけていませんか?」と気づかい、日頃からしっかりとコミュニケーションをとれば、無用なトラブルを避けることができます。よかったらシェアしてね