健康住宅は家の空気循環を意識することが大切です
24時間の機械換気は頼りになりますが気持ちのいい自然の風も通るようにしましょう。
健康に暮らすため、住まいに十分な日照を確保すること、また、いわゆるシックハウス症候群やアレルギーなどを引き起こすことのないよう、通風や換気によって室内の空気環境をきれいに保つことは、住宅としての大切な条件です。
さらに通風は、夏の涼をとるという大切な役割もあり、しっかり計画したいものです。上手な通風のポイントをご紹介しましょう。
からだに空気の「濾過装置」はありません
からだに入った危険な物質も、食べ物に由来するものであれば肝臓という臓器が「解毒」を行います。ところが空気について、人のからだはそのような「フィルター」を備えていません。仮に毒性のあるものでも、そのまま血中に溶け込んで、全身に回ってしまいます。
建材や家具の塗料に使われている化学物質の中には、ホルムアルデヒドなどの有害物質を放散させるものがあります。そのため現在新築される住宅には24時間稼働の機械換気設備の設置が義務付けられています。
窓を開けての換気や風を入れることも大切
しかし、常に換気が行われているからといって、窓を閉め切ったままの生活がいいとは言えません。換気もできるだけ自然の風を入れて行いたいものです。というのも、自然の風は独特の強弱のリズムや、鳥のさえずり、香りなどを運ぶことで、人に季節感や心地よさを感じさせてくれるからです。
また、夏の暑さをしのぐためにも、風通しのよい住まいにしておきましょう。窓を開けて涼むときは、きちんと風が通るように、窓の配置などを工夫しておきます。
“下から導き上に抜く”のが風の通し方の基本
いくら大きくても窓を1つ開けただけでは風は住まいの中に入りません。必ず出口が必要です。1つの部屋にはできるだけ2つ以上の窓を設けましょう。大きな窓から小さな窓に抜けるようにすれば、風速が増して、より風を感じることができます。また、暖かい空気は上に昇る性質があります。そこで、地窓など床面に近いところに設けた窓から導き、2階の天窓などに抜ける風の道をつくれば、風が欲しい夏場に、より風が通りやすくなります。
風の道を計画し、ガラリや引き戸でスムーズに流す
風を住まいの中全体に通すためには、風の通り道をふさぐような障害物を設けないことも必要です。風のルートに当たるドアは、下部を開閉式のガラリ※にしたり、開閉式の高窓を付けます。ただし音も抜けてしまうので、その点は考慮が必要。格子を使った間仕切りも視線を遮りながら風を通すので便利に使えます。
※ガラリ
「ガラリ」とは、細い斜めの板を並行に何枚も渡し、視線や光を遮りながら風だけを通すもの。ルーバーとも呼ぶ。ドアの全面や、下部に部分的に用いる。
またドアの場合は、閉めておくか、全開にするかという選択しかありませんが、引き戸は少しだけ開けておくといったことができるので、風を通しやすい扉です。ただし、引き戸は枠が大きくなるのでドアより高価。その点も考慮しながら、ドアと引き戸を使い分けてください。
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