同居者のため?将来のため?バリアフリーリフォームの考え方とは
バリアフリーリフォームの考え方には2種類あります。1つは将来に備えた準備。もう1つは必要になった時の個別的な対応。目的をはっきりさせましょう。
「将来必要になるかもしれないから、今は不要だけど手すりを付けておこう」というのは
一般的な予防策としてのバリアフリーリフォーム。
高齢で介護が必要な家族と暮らすために行うのは個別的なリフォーム。
それぞれで内容は大きく異なります。
個別的なリフォームを一般的なものと同じに考えない
玄関や脱衣室、浴室など、姿勢が不安定になる場所に、将来必要になるかもしれないから手すりを付けておこうと考えれば、その位置は平均的・一般的なものになります。しかし、たとえば「先日転倒して骨折した高齢の親が退院して家で暮らす、そのためにバリアフリーにする」というリフォームは個別的なものです。手すりが必要となる場所や使いやすい位置・形状などは、その人の体格や利き腕がどちらであるか、動きの癖などによって異なります。必要なのは個別的・具体的なバリアフリーリフォームなのか、一般的な予防策なのかの判断。その点を混同しないようにしましょう。
「将来の車椅子対応」は本当に必要か
予防として行っておくバリアフリーリフォームに「車椅子対応」があります。道路やガレージから玄関に至るスロープの用意。玄関の上がりかまち※を始め、室内のすべての床段差の解消、車椅子が通れる廊下幅やドア幅の確保。車椅子の回転スペース、不要なときの車椅子の収納スペースの確保など、多くのことを準備しておく必要があります。
しかし、将来住まいの中で本当に車椅子をフルに使うのかどうか、その点についてはあらかじめ考えておくことが必要です。手すりやつかまることができる家具を使い伝い歩きをするなど、できるだけ足を使った方が、からだの衰えを防止することにもつながります。そういう意味で、「将来の車椅子対応」は必ずしも必要とは言えません。
※上がりかまち
玄関などにある段差の、高い方の縁に取り付けられる横長の部材を総称したもの。
急勾配にならないように気を付ける
家の中は車椅子を使わない場合で、外出時は車椅子を使う、そのためガレージと玄関の間はスロープを用意するというケースは少なくありません。その際注意したいのは、スロープの勾配(傾斜の角度)です。短い距離でスロープを取りつけようとすれば、どうしても勾配が急になります。一般に、車椅子利用者が苦にならない理想的な勾配は1/20(計算上では、たとえば20m進んで1m上がる坂)と言われています。
ところが敷地の制約などにより、たとえば5mの距離で50cm上がらなければならないことになると、勾配は1/10と倍になってしまいます。これでは車椅子を押して上がるのはかなり力がいることになり、逆に下りるときは加速度が付いて危険です。できるだけ距離を取りながら計画することが必要です。
段差解消はやるなら徹底的に 中途半端は危険
車椅子を通すためだけでなく、つまずいて転倒しないようにするためにも、段差の解消は必要です。段差のない室内の移動は、確かに非常に楽です。
ただし、段差の解消はやるなら徹底しなければ、かえって危険になります。たとえ数mmといえども段差は一つも残さないことが必要。というのも、ほとんどなければ、ないことが当たり前になり警戒心が薄れます。また、わずか2,3mmの段差でも、高齢者はつまずいてしまうことがあるのです。むしろ明確に段差を残すことが、運動になり、足元に目配りするいい訓練になるという考え方もあります。
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