トイレの時間を有効にするわが家図書館
トイレに入るときに新聞を持ち込んだり、書籍を読んだりする人は少なくありません。衛生面を気にする人もいますが、近年のトイレは洋式便器が主流となり、汚れにくい内装材の品揃えも充実。かつてのマイナスイメージは消え、個室の1つとして認識されつつあります。リフォームを機に、狭いからこそ集中できるトイレという場所を、読書も楽しめる空間に変えてみてはいかがでしょう。
トイレは集中するのに良い場所
トイレは家の中で必ず1人になれる貴重な場所。古来よりものを考えるのにも良い場としてとらえられてきました。例えば中国の北宋時代の学者・欧陽修は文章を考えるのには馬上、枕上、厠上の「三上」の場所が良いと書きました。日本の戦国武将、武田信玄も厠の中で戦の作戦を考えたといいます。トイレは人に邪魔されず周囲からの刺激が少ないので、静かで集中しやすい環境といえるでしょう。人はやや低温の方が作業効率が上がるとされていますが、家のほかの場所よりも低い温度で保たれていることの多いトイレは、まさにそれに当てはまります。清潔になり、落ち着いて過ごせるトイレは今や立派な個室であり、読書をするのに最適な場所の1つといっても良いでしょう。
最近はパソコンやスマホなどで常時ネット回線につながるようになり、人はどこにいても大量のデジタル情報にさらされています。しかし、たとえわずかな時間でも電子機器から離れて、トイレで紙に印刷された活字にじっくり目を通すのも1つのリフレッシュ方法といえます。
本棚を作るならフレキシブルに使える場に
トイレで読書をするのが好きなら、単にトイレに本を積んでおくのではなく、リフォームでたくさん本の入る収納を設置して、「わが家図書館」を作ってみてはいかがでしょうか。市販されている本棚を置くのも良いですが、壁面収納にすれば見た目にもおしゃれになり、圧迫感も軽減されます。強度的には埋め込み式の方が安心。本は重量があるので、DIYではなくリフォーム事業者にお願いする方がベター。下地の強度や柱の位置を確認し、取りつけが可能かどうかを判断してもらいましょう。ただ、あまり下の方に置くと紙がたまった湿気を吸いやすくなり、側面や便器の背面に置くと水ぬれや尿ハネの危険があるので注意が必要です。なるべく腰より高い位置に設置するのが無難で、便器に座って正面にある位置なら、手に取りやすいうえに汚れにくいので理想的です。
本棚の奥行きは本に合わせて考えると良いですが、文庫やコミックスなら100mm程度、実用書なら130mm前後が必要です。これはトイレットペーパーの直径とも似たようなサイズなので、場合によっては書棚以外にも広く使えるようにしておくのも1つの考え方です。市販されているトイレ用のシステム収納も、本が入る奥行きを備えているものが多いので、チェックしてみると良いでしょう。
考え事に向いていても長居は禁物
毎日本を読む習慣がつくのは良いことですが、読書がおもしろいからといって、長居するのは家族に迷惑ですし、あまり長くトイレに座っていても体に良い影響はありません。便座に座っているだけでも力が入ってしまうため、痔になりやすいなど、健康面ではデメリットが大きいのです。そのため、読書といっても一度に5分程度で済ませるくらいがちょうど良いといえます。逆に、常に30分以上入っている人は生活習慣を改めた方が良いでしょう。トイレに置く本は、短編集や実用書、雑学書、雑誌など、一部分だけをサッと読めるものがおすすめです。あるいは、いずれ読もうと思っていてもなかなか手が出せずにいた本などは、こうした場所に置いておくと意外に少しずつでも読み進められたりするもの。資格試験の問題集を1回に1問ずつ解いていくような勉強方法も短い時間を有効活用でき、効率的です。
清潔になったとはいえ、トイレはやはり水ぬれや湿気の影響を受けやすい場所です。トイレ図書館に置く本は、汚れてもいいものにしておくのが安全です。また、本の表紙が雑然としていて美観を損ねると感じる場合は、かわいらしい紙や布でブックカバーを掛けましょう。水ぬれや汚れを防ぐだけでなく、見た目にも素敵なインテリアの一部として楽しめます。
*全国の登録事業者が表示されますので、お住まいのエリアに絞って検索ください。
よかったらシェアしてね